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2018年1月14日 (日)

だからそれが雇用システムの違い

Uadhtbcv_400x400 こういうつぶやきが話題になっているようですが、

https://twitter.com/retro_g_knight/status/951658522244038656

会社「いいか、仕事でできませんと言ってはいけない。どうすれば実現するか考えるのが真の仕事。海外はもっと厳しいぞ!」
新卒社員ワイ「ほーん、さすが社会は厳しいんやなあ」
新しく所属したメリケン会社「出来ないことは出来ないと言え。できることで利益あげるから」
ワイ「ファーwww」

https://twitter.com/retro_g_knight/status/951658897688772608

以前の会社と今の会社でだいたい言ってることが逆なの闇が深い

https://twitter.com/retro_g_knight/status/951746032261459970

ちなみにその前の会社は「海外企業に負けない!」ってやっててその外資に買収されて吸収されたんじゃがな

いやだから、それは闇とかどうとかじゃなくて、雇用システムの基本原理が全く逆にできているからということなわけです。

会社とは事業をブレークダウンした仕事の束であり、その各仕事に対して当該仕事を遂行できると思われる人間をはめ込むことが採用であり、労働者側からすれば就職である社会においては、その初めからある仕事をできるという前提で採用した労働者に当該仕事を遂行することのみを求め、それ以外の仕事に介入することを求めないのはあまりにも当たり前の話だし、

会社とは社員と呼ばれる人間の束であり、その各人間に対して、採用当時はそもそもできない仕事を習い覚えてやれるようになっていくことを大前提に社員という身分を付与することが採用であり、労働者側からすれば(間違って「就職」と呼ばれている)入社である社会において、その入社当時には全然できない仕事をできるように努力することが正社員たるものの心得第一条であり、そういう心構えを教えるのが上司や先輩であるのもあまりにも当たり前の話なわけです。

どちらのシステムにもメリットとデメリットがあるということも、繰り返し論じてきたところ。

欧米型のデメリットは、そもそも新規学卒者という、仕事ができないことが大前提である人間は「できないことはできなと言え」という社会では、「ああ、仕事ができないんなら採用できませんね」で、なかなか就職できないということに尽きます。

逆に言うと、何にも仕事ができないことがほぼ確実な若者が労働市場で「仕事ができないなんて言わずに頑張ります」でもって一番有利な立場に立てるような社会は日本以外にはまったく存在しないということでもあります。

なんで学校で勉強したことじゃなくてサークル活動やアルバイトで頑張ったことばかりをしゃべらなければならないのかとか、就職をめぐるもろもろの問題はほとんどすべてこの雇用システムの違いで説明できます。

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コメント

> いいか、仕事でできませんと言ってはいけない。どうすれば実現するか考えるのが真の仕事。

確かマイクロソフト CEO 時代のビル・ゲイツが似たようなことを言っていましたね。「出来ないなどという無能は即クビ。マイクロソフトにはスーパー・スマート以外は要らない」といったかなり過激な発言でしたが。まあ、トランプが ”You're Fired”をキャッチ・フレーズにしていたように、米国の経営者が好む表現なのでしょう。

米国でもエリート層に関しては「仕事でできませんと言ってはいけない」は正しく、ノン・エリート層に関しては「できないことはしなくていい。はじめから成長など期待していない」、という社会なのでしょう。ノン・エリートにはキャリア・アップの機会がない、「デッド・エンド・ジョブ」しかない、という面もあるわけですね。

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A dead-end job is a job in which there is little or no chance of career development and advancement into a higher paid position.

https://en.wikipedia.org/wiki/Dead-end_job
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投稿: IG | 2018年1月14日 (日) 23時32分

まあ、それが、かつてわたしが「「ふつうの人」が「エリート」を夢見てしまうシステムの矛盾」と呼んだものであるわけですが・・・。
http://www.nitchmo.biz/hrmics_12/_SWF_Window.html


・・・日本は違います。男性大卒=将来の幹部候補として採用し育成します。10数年は給料の差もわずかしかつきませんし、管理職になるまで、すべての人に残業代が支払われます。誰もが部長や役員まで出世できるわけでもないのに、多く人が将来への希望を抱いて、「課長 島耕作」の主人公のように八面六臂に働き、働かされています。欧米ではごく少数の「エリート」と大多数の「ふつうの人」がいるのに対して、日本は「ふつうのエリート」しかいません。この実体は、ふつうの人に欧米のエリート並みの働きを要請されている、という感じでしょうか。

投稿: hamachan | 2018年1月14日 (日) 23時57分

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