佐藤英善編著『公務員制度改革という時代』
佐藤英善編著『公務員制度改革という時代』(敬文堂)をお送りいただきました。ありがとうございます。「自治総研叢書」ということで、自治労のシンクタンクである自治総研の研究成果です。
http://keibundo.com/0711_05-078.htm
2014年の国家公務員法等改正法成立まで20年近くに及んだ公務員制度改革の議論。怒涛のなかで何が実現し、何が潰え去ったのか。潰え去った重要な論点を、歴史の波間に消え去らしてはならない。今後の改革のために「公務員制度改革という時代」の論点と課題を明らかにする。
目次は次の通りで、21世紀に入ってからの推移を大きく3つの時期に分けて主なトピックを論じています。
第1期 公務員制度改革大綱―公務員制度調査会と行政改革会議
第1章 公務員制度の基本理念と改革大綱の問題点 佐藤 英善
第2章 中央人事行政機関論 稲葉 馨
第3章 政治任用 武藤 博己
第4章 天下り再考 西尾 隆
第5章 公務員の労働基本権問題再訪 清水 敏
第6章 ドイツ公務員制度の動向―ラウフバーン、給与・賃金制度を中心として― 奈良間貴洋
第7章 韓国における公務員団体協約締結権の仕組みと運用状況 申 龍徹
第2期 国家公務員制度改革基本法
第8章 公務員制度改革に係る「工程表」と決定に至る経過について―内閣人事・行政管理局(仮称)への機能移管を中心に― 上林 陽治
第9章 政官関係と公務員制度改革 武藤 博己
第3期 国家公務員法等改正法案の国会上程
第10章 公務員制度改革関連法案と人事行政組織の再編 稲葉 馨
第11章 公務における勤務条件決定システムの転換―その意義と課題 清水 敏
第12章 公務員制度改革と幹部職員の一元管理 武藤 博己
第13章 「地方公務員の労働関係に関する法律案」の内容と課題 小川 正
第14章 2014年の国家公務員制度改革関連法について 稲葉 馨
第15章 国家公務員制度改革をめぐる動向―1990年代半ばから基本法案成立まで 鎌田 司
第16章 「失われた15年」となる公務員制度改革―民主党政権下の公務員制度改革をめぐる動向を中心として― 岩岬 修
いうまでもなく、話の中心は労働基本権問題を軸にした集団的労使関係の在り方なんですが、改めて話の始まりから読み返してみると、そもそも終戦直後にアメリカの強い影響下で導入された職階制というまさにアメリカ直輸入のジョブ型の制度が、その後数十年間にわたって完全に骨抜きにされ、それに対する批判として21世紀初めという段階になって颯爽と登場してきたのが、民間部門では既に90年代に批判されるようになっていた「能力等級制」という名の職能制であった、というこのずれずれぶりが、この10数年の公務員制度改革論のそもそもの入口からのボタンの掛け違いを象徴していたようにも思われます。
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