早見俊『労働Gメン草薙満』
これは本屋でたまたま見かけて、タイトルが労基小説だぞ!と訴えていたので買って読んだのですが、正直微妙でした。
http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198942786
労基小説と言えば、かつて本ブログで紹介した沢村凜さんの『ディーセント・ワーク・ガーディアン』は、内容的にも立派な労基小説でしたが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-748a.html(本邦初の労基小説! 沢村凜『ディーセント・ワーク・ガーディアン』)
こちらはタイトルがいかにもであるにもかかわらず、中身はB級の警察小説、犯罪小説に監督官を狂言回しとしてくっつけただけという感じです。
たぶん、一昨年末に労基のかとく部隊が電通にどやどやと入る映像を見て、これ使える、と思って書き下ろしたんじゃないかと思いますが。
大手化学メーカーに勤務する村瀬一雄が帰宅途中に服毒自殺した。村瀬の妻から相談を受けた労働基準監督官の草薙満は、村瀬が退社後にアルバイトをしていたことを突き止める。アルバイト先を張り込み中、草薙を不審者と勘違いして職務質問してきたのが、ひばりが丘警察署の安城沙也加だった。村瀬の自殺の真相を探るうち、草薙と沙也加はある謎に直面する――。熱血“労働Gメン”登場!
いや、熱血はいいんだけど、女性警察官と一緒になって覚醒剤密造の犯罪捜査に熱中しているというのは、労働基準監督官としてどうなの?としか・・・。警察が民事不介入で強制捜査できないところを、労基は臨検監督できるからといいように使われているだけというのは、いくらなんでもひどくないか、と。
挙げ句の果てには、こんな台詞まで飛び出してきて、いや労基小説書くんならもう少し労働基準法を勉強してから書いてよね、と。
沙也加が満の背中を指でつついた。
満も労働Gメンの使命感が湧き上がってきた。
飛び出すと、
「労働基準監督官です。臨検を行います」
証票を右手で示した。
大塚は一瞬、満を睨んでいたがすぐに満だと気づき、戸惑いの表情となった。満の横に沙也加がやってきて、
「段ボールの中身は何ですか」
と厳しい声を出した。
口を閉ざした大塚に向かって、満が、
「大塚さん、従業員へのパワハラ行為は労働基準法に違反しますよ」
はぁ?
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