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2017年12月21日 (木)

稲葉秀三って誰?

トリビアに食いついているように見えるかもしれませんが、金子良事さんのつぶやきが気になって・・・

https://twitter.com/ryojikaneko/status/943823933039460354

稲葉秀三って名前、出してああ、社民右派の大立者ね、と分かってくれる人は案外少ないと思い知った。そうか。あんな有名人なのにな。

いやいや、稲葉秀三は社民右派の大立者じゃないでしょ。ていうかそもそも政治家じゃない。経済安定本部で傾斜生産方式をやり、その後産経新聞の社長になり、社会経済国民会議の議長もやりましたが、政治家になったことはないはず。

というか、戦前はいわゆる革新官僚で企画院事件に連座しており、同じく捕まった連中のなかに和田博雄とか勝間田清一とか、戦後社会党の大立者になった人がいるので、それらとごっちゃになったのかもしれないけれど、彼らは右派じゃなくて左派だしね。

企画院事件に連座した革新官僚で戦後社会党右派(から民社党)というと、先日『HRmics』で紹介したG.D.H.コールの『労働者 その新しい地位と役割』の翻訳者でもある和田耕作がいますけど、稲葉秀三とごっちゃになる人でもなさそうだし。

金子さんの中で何かと混線した可能性がありますが、それがなんだかよくわかりません。

(追記)

Myweb1024001たまたま、1951年の『社会主義』創刊号の創刊のことばなるページを発見しましたが、

http://www5f.biglobe.ne.jp/~rounou/myweb1_024.htm

そこに載っている社会主義協会同人のリストに稲葉秀三の名前が「知識人」枠で載ってます。

 つぎに主要な社会主義協会同人を御紹介します。地方選挙やその他の都合で広く同人を求める余裕がありませんでしたが、積極的な参加を切望します。

社会党 和田博雄、勝間田清一(交渉中)江田三郎、伊藤好道、金子洋文、稲村順三、佐多忠隆、吉田法晴、佐々木更三(交渉中)

労組 武藤武雄、岡三郎、永岡光治、高野実、柳本美雄、肥川治一郎、和田春生、原口幸隆、市川誠、東谷敏雄、清水慎三、大田薫、平林剛、小椿春三、津脇喜代男、大脇博、清水十三男、久保田正英、岩城悌三

知識人 大内兵衛、山川均、有沢広己、向坂逸郎、高橋正雄、稲葉秀三、鈴木武雄(交渉中)芹沢彪衛、板垣武雄、大森真一郎、小松清(交渉中)、松岡三郎(交渉中)岡崎次郎、岡崎三郎、揖西光速、鈴木鴻一郎、相原茂、大内力、鈴木徹三、西尾正栄、関嘉彦(交渉中)

協会派というと後のイメージではがちがちのマルクスレーニン主義者の集まりという印象ですが、出発点では西欧型社会民主主義の人も広く包摂する組織を目指していたようですね。

そういう意味では社民主義者の一人であったことは確かでしょうが、「社民右派の大立者」とは言えそうにありません。

(追記)

金子さんがコメントしてくれました。

>社会党から西尾が追い出されたとき、社民右派を結集しようとして裏で動いていたのが稲葉で、これを阻止したのが総評です。まあ、もともと太田たちの動きが分裂になったわけで、彼らがそういう行動に出たのはよく分かります。全逓の宝樹さんのオーラルに書いてあったと思います。

宝樹オーラルは、政策研究院にいたときに大変面白く読んでいましたが、そんな記述あったっけ?とおもって引っ張り出してみると、確かに下巻の95頁から「稲葉秀三が社会党分裂、西尾末広追放に関与」とありますね。

本人が「これも非常にマル秘で」と言っているので、『証言戦後労働運動史』も含め、他では出てこない話ですね。

その稲葉の広範な社民右派政党構想をぶっつぶしたのが宝樹文彦で、それを本人に明かしたのが、連合結成当時に、そのシンクタンク(連語総研)をつくる話をしに行ったときだというのですから、結構すごい話です。

しかし、このオーラル以外では一切出てこないし、世間でもほとんど知られていないのではないですか。これで「社民右派の大立者」といって通用するのかというと、世間的にはどうかなと思います。

 

 

 

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コメント

大田薫とありますが、太田薫ではないかと思います。

そうでしょうね、もとのサイトが間違えているのでしょう。

社会党から西尾が追い出されたとき、社民右派を結集しようとして裏で動いていたのが稲葉で、これを阻止したのが総評です。まあ、もともと太田たちの動きが分裂になったわけで、彼らがそういう行動に出たのはよく分かります。全逓の宝樹さんのオーラルに書いてあったと思います。

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