フォト
2025年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28  
無料ブログはココログ

« 『ビジネス法務』2月号のお知らせ | トップページ | 宮前忠夫『企業別組合研究のための文献集』 »

2017年12月20日 (水)

野原蓉子『パワハラ・セクハラ・マタハラ相談はこうして話を聴く』

12131902_5a30faa36e75b_2例によって、経団連出版の讃井暢子さんより、野原蓉子著『パワハラ・セクハラ・マタハラ相談はこうして話を聴く -こじらせない!職場ハラスメントの対処法』(経団連出版)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

http://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/public/book/index.php?mode=show&seq=486&fl=

パワハラ、マタハラ、過労死などの問題が毎日のように報道されています。それらの事案からも、ハラスメント問題はさまざまな不祥事の背景となる要因であり、企業の存立にかかわるほどの重大な影響を与え、経営をゆるがしかねない課題であることがわかります。

ハラスメントは未然に防止することが一番重要ですが、問題が発生したとしても、大事になる前にその芽を見つけ出し、「初動」(最初の手当)できちんと対応できれば、大きなトラブルへと発展する事態を防ぐことができます。

そこで本書は、企業や官公庁でカウンセリングに従事してきた筆者が、ハラスメントに対する基本的な知識から、「ハラスメントを受けた」と相談されたときの初動対応までを、ヒアリングの仕方、相談相手の信頼を得られる話し方、解決に至るステップなどについて成功例、失敗例、改善例を交えて紹介します。

企業の相談窓口担当者や管理職が、ハラスメント相談にあたる際の問題解決の道しるべとなる一冊です。

最近はハラスメント関連の本もたくさん出されていますが、本書はとにかく実戦的に、現場でどう対応すべきかを具体的な事例でもって説明している本です。

特に、第3章の「相談シナリオで学ぶヒアリングの成功と失敗」は、やや作りすぎの感もありますが、どういう対応の仕方がよくないのかがよくわかる生々しい例がいっぱい載っています。ほんとは失敗例をいくつか引用したいところですが、部分的に引用しても仕方がないので、是非本書をめくってぱらぱらとでも見てください。

(追記)

・・・と思ったけれど、失敗例はよく読んでもらう必要があるので、被害者ヒアリングから一件。

窓口 営業所の所長からセクハラやパワハラを受けたんですって?その所長のことを私はよく知っています。営業成績を上げている優秀な所長さんという評判です。

女性 今回相談するまでに本当に迷いました。職場は男性しかいないのでこれまで誰にも話せませんでした。こんなことになったのは自分にも問題があったのではないかと責め続けていました。

窓口 自分にも落ち度があったと思うのですね?

女性 所長からマンツーマンで仕事を教えてもらって、何とか営業の仕事ができるようになり感謝していましたが、他の営業社員から仕事を教わろうとすると邪魔されるのです。何か男女の関係で嫉妬されているようで気になりました。営業社員も私に近づかなくなりました。

窓口 所長には感謝していたのですね。何か特別にひいきされているような感じもあったんですね?

女性 そういうことはまだ我慢できるのですが、営業車内でお尻や胸を触られたりしました。イエまで送ってもらったときには家に上げろと言われて断ったら抱きつかれました。それから何をされたかは思い出すのもいやです。

窓口 所長から何をされたかをきちんと言ってもらわないと分かりません。

女性 キスをされたんです。恋人でもない人からそんなことをされたくなかったです。(泣きながら)

窓口 1回だけですよね?家に入れなかったのはよかったです。

女性 それから所長の足音を聞くだけで嫌悪感を感じます。営業所に二人だけになると何をされるかと思って口もきけなくなりました。

窓口 それ以後は何もないわけでしょう。ちょっと大げさな感じですね。

女性 その後、所長からは「セクハラとかパワハラとか言うなよ。お前の評価を良くしてやっているんだから。お前が困るんだよ」と言われました。このことを母に電話で話したら、「会社を辞めてすぐにここに帰ってくるか、会社にはそういうことを相談する場所があるはずだから辞める前に相談しなさい」と説得されました。

窓口 話の内容は分かりました。この後に所長からも話を聞き、その上で会社の対応をお知らせします。ただセクハラ行為があったと判断されても、所長は優秀で仕事ができるため異動させるわけにはいかないかも知れません。その場合はあなたが異動するしかないと思いますよ。

女性 そうですか、いくら相談しても会社の方が大事だということがよくわかりました。それなら私は会社を辞めます。そうしてから、母と相談して外部の相談窓口に改めて相談したいと思います。

・・・・・

« 『ビジネス法務』2月号のお知らせ | トップページ | 宮前忠夫『企業別組合研究のための文献集』 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 『ビジネス法務』2月号のお知らせ | トップページ | 宮前忠夫『企業別組合研究のための文献集』 »