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2017年12月22日 (金)

『ビジネス法務』2月号は盛りだくさん

1603284_pというわけで、『ビジネス法務』2月号が届きました。

http://www.chuokeizai.co.jp/bjh/

まず、表紙にでかでかと出ている「働き方改革」の特集ですが、

【特集1】

「働き方改革」法案要綱の全容を解く            

大変革期を乗り越える鍵は積極的な労使対話に
(山田 久)

働き方改革は何を「改革」するのか
改正の全体像と対応ポイント
(倉重公太朗)

{労働時間法制}
時間外労働・長時間労働の是正
(北岡大介)

高度プロフェッショナル制度の導入と課題
(岡田和樹)

{同一労働同一賃金}
・法改正が目指す「不合理な待遇差」の禁止とは
(橘 大樹)

・日本郵便(東京)事件にみる労契法20 条の判断基準
(岸 聖太郎)

・有期雇用者・パートタイマーの待遇差是正
(石嵜裕美子)

・派遣労働者の待遇差是正
(佐々木晴彦)

・Interview 株式会社イトーヨーカ堂
企業利益に寄与する
真摯なパワハラ・メンタルヘルス対策
(久保村俊哉)

・Interview 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
テレワーク導入を契機とした働き方改革の取組み
(本合暁詩/山下健介)

・働き方改革の経済分析
(山本 勲)

・ILO「国際労働基準」と日本の取組み
(田中竜介)

総論は山田久さんと倉重公太朗さんですが、ここではやはり倉重さんのパッション溢れる文章をいくつか紹介しておきましょう。

彼はまず、あまり目立たない雇用対策法の改正の中の基本的理念の文言に着目します。

・・・ここで見える政府の意図は、これまでの日本型雇用に対して大きな変革を迫るものである。従来の日本型雇用の特徴は、・・・・・労働「契約」により担当業務を決めるという欧米式ではなく、会社に「入社」するのである。会社に入社し、メンバーになっている正社員とメンバー外である非正規雇用の給与体系が違うことも前提である。

しかし、政府の方針としては、職務の内容や職務に必要な能力を明らかにした上で、「公正な評価」を行うべしとのことである。この点から、従来型の日本型雇用の大変革を目論む意図が伝わってくるのである。

そして、同一労働同一賃金に関わって、こう述べます。

・・・しかし、今後は「非正規だから」給料が安い、「正社員だから」給料が高いということではなく、どんな仕事をしているか、どんな能力・経験があるかが重要になる。裁判実務も、日本郵政事件など、変わり始めている。そう遠くないうちに、長澤運輸事件やハマキョウレックス事件についても最高裁判決が出るであろう。その時問題となるのは、「正社員の給料はなぜ高いか?」について説明する必要があるということだ。・・・

このパッションは最後に近づくにつれてますます高まっていき、

・・・その時、労働法はどうあるべきか。これまでの高度経済成長モデルの終身雇用・年功序列を前提とした法律でよいのか、改革すべきか。・・・「働き方改革」は単に労働時間を削減し、非正規雇用の賃金を上げるだけの話ではない。

一時の「風」ではなく、本質的な議論の上に日本型雇用の未来があって欲しいと切に願ってやまない。

と、荒野に呼ばわる預言者の如き風情を醸していきます。

もう一つの特集は「AIで変わる法規制」で、私はこちらに顔を出しています。

【特別企画】

AIで変わる法規制            

・総論:AI に対して法はどう向き合うか
(新保史生)

・憲法:個人の尊厳・自律とAI による評価
(山本龍彦)

・労働法:デジタル経済時代の労使関係
(濱口桂一郎)


・行政法:AI 社会における行政規制・行政によるAI の活用に向けて
(横田明美)

・不法行為法・PL法:民事責任 ―AI・ロボットと責任の分配
(波多江 崇)

・知財法:ビッグデータ,学習済みモデル,AI 生成物の保護
(柴野相雄/松村将生)

・独禁法:デジタル・カルテルが問う「合意」要件
(植村幸也)

・金融法:市場取引,金融サービス,コンプライアンスにおけるAI の活用
(森口 倫)

・刑事法:AI・ロボットと刑事法 ―取得情報とプライバシーを中心に
(松尾剛行)

・司法制度:裁判過程・司法判断におけるAIの可能性
(大屋雄裕)

・国際法:AI搭載兵器の責任をめぐる法的問題
(佐藤丙午)

別に図ったわけでもないのですが、私の小文は大特集の働き方改革の話とこちらのAIの話をつなぐような形になっています。

というのも、話の枕として働き方改革の話をして、日本政府は一方で伝統的な日本型正社員の「いつでもどこでも」な働き方に限定をかけようとしつつ、同時にその限定がしにくいデジタル技術を駆使した新たな働き方を推進しようとしているという、逆説とは言えないにしてもやや皮肉な状況を語っているからです。

この特集は、各法律分野におけるAIの状況が浮かび上がってきて、大変面白い読み物になっています。このうち知財法について書かれた柴野相雄さんとは、先日某所の座談会でご一緒したところです。こちらはそのうち『労務事情』に出るので乞うご期待。

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