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2017年12月22日 (金)

JILPT『現代先進諸国の労使関係システム』

Cover_no5『日本的雇用システムのゆくえ』とまったく同じ日に、JILPTの第3期プロジェクト研究シリーズのNo.5として『現代先進諸国の労使関係システム』が刊行されました。

http://www.jil.go.jp/institute/project/series/2017/05/index.html

近年、欧州諸国における事業所協定や企業協約への分権化の傾向を背景として、産業別協約がどの程度規範としての力を保持しているのか関心を呼んでいるなか、国、産業レベルの団体交渉、労働協約とその拡張適用、企業や事業所レベルにおける労働組合、従業員代表機関との協議交渉や協定などの視点に基づき、ドイツ、フランスおよびスウェーデンの労働協約システムの現状とその規範設定(労働条件決定)の実態及び労使関係システムに係る法政策の展開について、わかりやすく概説しています。

こちらは、序章を私が書いて、山本さんがドイツ、細川さんがフランス、西村さんがスウェーデンという構成です。

序章 団結と参加─労使関係システムの諸類型─ 濱口桂一郎
第1章 ドイツ─第三次メルケル政権下における集団的労使関係法政策─ 山本陽大
第2章 フランス─労働協約システムの歴史的形成と現代的展開─ 細川良
第3章 スウェーデン 企業内の労使交渉を重視した労使関係─スウェーデンの賃金交渉を素材に─ 西村純

今どき労使関係?と思うかも知れませんが、いや今だからこそ労使関係システムをじっくり考えることが必要なんです。

本書の趣旨を述べた「まえがき」を載っけておきます。

現代日本においては、労働法制上は労働組合が使用者ないし使用者団体と締結する労働協約が使用者の定める就業規則に優越する法規範として位置づけられているにもかかわらず、企業別組合中心の労働社会においてその存在感は希薄であり、過半数組合ないし過半数代表者の意見を聴取するとはいえ使用者の一方的決定による就業規則が法規範の中心的存在となっている。例えば、菅野和夫『新・雇用社会の法』においても、就業規則を「雇用関係の基本的規範」と呼んでおり、規範としての労働協約の影は極めて薄い。

これに対し、欧州諸国では全国レベルや産業レベルで労働組合と使用者団体との間で締結される労働協約が国家法と企業レベルを媒介する重要な法規範として労働社会を規制しており、その位置づけは極めて高いものがあるといわれている。その典型的な諸国としては、ドイツ、フランスおよびスウェーデンが挙げられる。こうしたマクロ社会的な労使の自治規範がほとんど存在しない日本においては、ミクロな企業レベルを超える問題は直ちに国家法の問題となるため、例えば労働時間問題などにおいても、過度に法律政策に依存したものになりがちとの指摘もある。

もっとも近年は、これら諸国においても事業所協定や企業協約への分権化の傾向が指摘されており、産業別協約がどの程度規範としての力を保持しているのか、関心を呼んでいるところである。

そこで、労働政策研究・研修機構においては、第3期のプロジェクト研究「労使関係を中心とした労働条件決定システムに関する調査研究」の中で、伝統的に産業レベルでの労働協約を中心とする労働条件決定システムが形成されてきた欧州諸国、具体的にはドイツ、フランスおよびスウェーデンを対象として、現代先進諸国における規範設定に係る集団的労使関係のあり方を調査研究してきた。具体的には、国、産業レベルの団体交渉、労働協約とその拡張適用、企業や事業所レベルにおける労働組合ないし従業員代表機関との協議交渉や協定等について、実証的かつ包括的に調査研究し、これからの日本の労働社会のあり方に関するマクロ的議論の素材とすることを目指したものである。

 本書は、これまで累次の報告書で明らかにしてきたこれら3カ国における労働協約システムの現状と、同システムに基づく規範設定(労働条件決定)の実態、さらに労使関係システムに係る法政策の展開の姿を、一般読者向けにできる限りわかりやすく概説したものである。本書が多くの人々に活用され、今後の労働法政策に関わる政策論議に役立てば幸いである。

 

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コメント

こうした欧州先進事例のフィールドスタディが日本の労使関係(正社員中心の企業別組合)に与える洞察は小さくないと考えます。とりわけ過去二十年間、各社(産業全体)で種々の労働条件を向上させ賃金を上げていくことが求められていたにも関わらず、それを正規/非正規いずれに対しても殆ど成し得なかった日本企業と企業内労組(労使関係)の責任は大きかったはずですから…。先日のJILPTレポートでいみじくも山田久さんが述べられた方向性〜企業別組合を前提にした労組の連携及び非正規を取り組んだ真の従業員代表への道〜をベースに、日本の労働組合がご自身のレゾンデートルを新たに&改めて自覚し、堂々と生まれ変わっていかれることを期待しています。

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