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2017年12月12日 (火)

『Works』145号は「出直しの働き方改革」

Worksリクルートワークス研究所の『Works』145号をお送りいただきました。特集は「出直しの働き方改革」です。

http://www.works-i.com/pdf/w_145.pdf

■特集 出直しの働き方改革
はじめに:オフィスの灯りが消えたその陰で

●進む「働き方改革」 その現状と課題に迫る
・データで見る働き方改革の“通信簿”
・なぜ、働き方改革は成果も満足感も低いのか

●本質的な働き方改革へ 7の「改革」事例に学べ
・CASE 1:働き方改革=構造改革
宅急便事業という社会的インフラを守るために働き方改革を中心に経営や事業の構造を変える
/ヤマトホールディングス
・CASE 2:働き方改革=営業時間改革
営業時間を大胆に短縮 “量から質”への転換に全社で取り組む
/ロイヤルホールディングス
・CASE 3:働き方改革=意思決定手法改革
成果責任を果たすため、スピーディな意思決定と権限委譲に全社で取り組む
/アステラス製薬
・CASE 4:働き方改革=報酬制度改革
残業50%削減で年収20%アップ 「みんな」で考えた全員参加プロジェクト
/メンバーズ
・CASE 5:働き方改革=仕事の進め方改革
IT導入とルールの明確化で業務を標準化 全員がマルチタスクを担える組織に
/陣屋
・CASE 6:働き方改革=仕事の与え方改革
仕事を“目的”で依頼することで労働時間の削減と人材育成を両立
/SCSK
・Column:働き方改革=人生の楽しみ方改革
“エッジの立った仕事と自分の時間の両立”を目指し、仕事はよりクリエイティブに
/有沢正人氏 (カゴメ 執行役員CHO〈人事最高責任者〉)
・あらためて、働き方改革とは何か

まとめ:人事は働き方改革を誰とともに進めるのか
/石原直子(リクルートワークス研究所 人事研究センター長)

「なぜ、働き方改革は成果も満足感も低いのか」では、慶應の山本勲さんが日本型雇用と長時間労働の深い関係について語り、

・・・さらに根深い問題は、「日本型雇用システムそのもののなかに、長時間労働が埋め込まれている」(山本氏)ことである。「景気変動への対応の仕方が、日本企業と米国企業では異なります。米国企業の多くは人を減らし、人件費を削減することで不況期を乗り切ろうとしますが、日本企業は解雇しません。新卒一括採用、長期育成モデルを採っているためです」(山本氏)。新卒の真っさらな人材に投資し、時間をかけて育成するため、途中で解雇してしまっては元が取れない。「そのため、もともと正社員の人数は少なめに見積も、景気がいいときにはその人たちが残業する前提です。不況になると、残業を減らすことにより、人員カットはせずに人件費を削減する、つまり、雇用保障と長時間労働がセットになっているのです」(山本氏)

山本さんはさらに社内の過剰なサービスの問題を指摘しています。

・・・山本氏はこのような問題が起こる理由の1つとして、上司や同僚に対する“過剰なサービス”を挙げる。「社内文書にもかかわらずフォントや色を工夫して書類作成をする、丁寧な挨拶文付きで上司にメールを送るといったことが象徴的。これらは、付加価値を生む行為ではありません」。これらの行為がなくならないのは、「それが出世に影響するという実態や思い込みがある」(山本氏)ためであり、評価制度はそうなっていなくても、上司への“サービス”を上司が評価する傾向があることが部下に透けて見えるからであろう。

これと同じ構造が顧客への過剰サービスにあると指摘します。

・・・“過剰なサービス”は、上司や同僚に対してだけではない。「顧客に対しても同様」だと山本氏は指摘する。「“おもてなし”を売りにする日本ですが、海外でも高い料金を支払えば、日本と同等の、あるいはそれ以上のおもてなしを受けることができます。日本でもおもてなしをするのであれば、それを価格に転嫁する必要があるのに、それをやっていない。それこそがデフレの要因であり、生産性が上がらない根本的な理由です」(山本氏)

本ブログで繰り返し指摘してきた「スマイル0円が諸悪の根源」てことですな。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-ce16.html(勤勉にサービスしすぎるから生産性が低いのだよ!日本人は)

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コメント

「過剰なサービス」というのは、つまり、過剰に労働力を投入している、ということになりそうです。であれば、今後日本の労働力人口が減少していくことで、労働生産性は上昇していくのかもしれませんね。もちろん、付加価値の増大以上に労働力が減少すれば、グロスの総生産、GDP は減少することになるわけですけども。

失業率が急上昇し、生産の減少以上に労働力が減少すると、労働生産性は上昇する、というのは欧州の金融危機でみられた現象のようです。そうした面から考えると、日本の労働生産性が低いのは日本の失業率が低いから、という見方もできそうですね。

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一方、金融や財政に問題を抱える南欧諸国は、イタリア(88,085ドル/第11位)、スペイン(85,686ドル/第14位)では労働生産性が比較的高い水準を維持しているほか、ギリシャ(75,935ドル/第19位)も日本と同水準になっている。ただ、これらの国では、GDPが大きく落込んでいるものの、経済情勢の悪化から失業率が極めて高くなっており、結果として就業者数が大きく減少したことで労働生産性の低下を免れているに過ぎない。特に、ギリシャの失業率は23.6%(2012年)と、5年前(8.1%/2007年)の3倍近くに上昇しており、日本(4.3%)の5倍以上になっている。スペインも、2007年に8.3%だった失業率が2012年には25.1%へと上昇しており、それが結果として労働生産性を押し上げる要因になっている。

労働生産性の国際比較->2013年度版->報告書全文->pp.29
http://www.jpc-net.jp/intl_comparison/
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同記事で面白いなと思った箇所は、先進事例数社のヒアリング調査にのもとづき「働き方改革」のポイントをいくつかの側面に着目し分析している点です。すなわち、事業構造改革、営業時間改革、意思決定手法改革、仕事の与え方改革、仕事の進め方改革、報酬制度改革、そして、人生の楽しみ方改革、と…。詳細は本文に譲りますが、これらの「改革」に求められている要素を(私なりに)要約すると「責任の権限の明確化」「業務フローの見える化と標準化」「(労働時間の多寡ではなく)職務の大きさと成果に基づく報酬」といった共通点が透けて見えるようです。

ずっと使ってきた自宅のパソコンに多少の不具合が見られたり動きが遅くなってきたりしたからといって急にオペレーティングシステムそのものをウィンドウズからマックに簡単には変更出来ないように、多くの日本企業でデフォルトOSとして使いこなしてきた無限定正社員(すなわちメンバーシップ型人事管理)は、会社自体が合併等で外資系資本にでもならない限りそう易々とは手放せるものではありません。

では、使い慣れたメンバーシップ型を維持させたままいかにこれらの「改革」に着手していくのか?

もちろんこの場で易々と結論は出せるものでははありませんが、確実に言えることは、正規非正規含めた全社員一人ひとりの「職務と報酬の関連性」をいっそう高めていくことなのでしょうね。例えば、すでにある職種別等級基準書の精度と粒度をより高めること(JDとは言わないまでもそれぞれの該当グレードに合った仕事が何であるかが明確になるもの)で、目標管理制度で設定する各人の達成基準に公平感と統一感を与えるものを整備していくこと、など。

どっちにいても、どこにいても、より望ましい方向に向かって出来ることはまだまだたくさんあるかと思います。

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