安西愈『多様な派遣形態とみなし雇用の法律実務』
安西愈さんより新著『多様な派遣形態とみなし雇用の法律実務――派遣・請負・業務委託・出向・協業等、労働契約申込みみなし制度の問題――』(労働調査会)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.chosakai.co.jp/publications/19738/
実態は労働者派遣でありながら、請負等の名目で派遣を受け入れる違法な「偽装請負」とならないよう、派遣と請負等との適正区分の解釈・運用、実務対応について詳解。また、多様な形態をとる派遣、出向、アウトソーシングなどの実例を挙げながら、適法に運用するための具体的な対応についても触れている。平成27年に施行された「労働契約申込みみなし制度」に関して今後起こり得る問題、裁判実務にも詳細に触れ、派遣契約書等のモデルと解説も盛り込んでいる。
いやいや、そんな生易しいものではなく、下の目次を見ればわかるように、およそ考えられるありとあらゆる問題について実務的観点から詳細な議論を展開している派遣の百科全書的な本です。
第1部 労働者派遣と多様な利用形態をめぐって
第1章 労働者派遣法の意義と展開
第2章 多様な労働者派遣の形態と労働者派遣法の適用上の問題
第2部 労働者派遣と請負・業務委託、労働者供給をめぐって
第1章 労働者派遣と請負・業務委託等をめぐる問題
第2章 「労働者派遣事業と請負事業との区分告示」をめぐる問題
第3章 業務請負・業務委託契約書例と解説
第4章 労働者派遣と出向との区別をめぐる問題
第5章 いわゆる二重派遣的形態をめぐる問題
第3部 派遣先、発注者への「労働契約申込みみなし」の適用をめぐって
第1章 派遣先等への「労働契約申込みみなし」制度とは
第2章 「労働契約申込みみなし」の対象行為をめぐって
第3章 脱法目的の偽装請負契約による派遣受入れをめぐって
第4章 「労働契約申込みみなし」への労働者の承諾をめぐって
第5章 承諾により成立する直接雇用の契約内容
第6章 派遣元等との労働契約が無期雇用の場合の「労働契約申込みみなし」の適用をめぐる問題
第7章 派遣先等の派遣法違反についての善意無過失の立証をめぐる問題
第8章 都道府県労働局長による「労働契約申込みみなし」に関する行政指導をめぐって
第4部 最新労働者派遣法対応の派遣に関するモデル契約書例と解説
偽装請負の場合の労働契約申し込みみなしについても、たとえば元の請負契約の予定期間が終了した後には、派遣先との正式な労働関係に直すために「雇い替え」する必要があるなど、なかなかふつうそこまで考えが及ばないようなことまで書かれています。
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