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2017年11月 4日 (土)

入管法上は日本の大学はとってもレリバンス

さて、日本の大学といえば職業的レリバンスがないというのが常識であるわけですが、そしてそれを大前提にして「就職」ならぬ「入社」をするというのが常識であるわけですが、そしてその常識を共有しない者は冷ややかな目で見られるというのが通り相場であるわけですが、さはさりながら、何べんも繰り返しているように日本国の実定法体系は欧米と何ら変わらぬジョブ型であって、そしてそれが明確に現れるのが、外国人との接点に位置する入国管理制度なのです。

といっても何のことかよくわからない人が多いでしょう。日本には現在20万人以上の留学生がいますが、彼らがそのまま日本で企業に就職しようとすると、在留資格の変更というのをしなくてはなりません。

外国人の就労資格にはいくつかありますが、労働法や労働政策の面からはあまり注目されないのが、「人文知識・国際業務」「技術」という在留資格で、要するに文科系、理科系のホワイトカラー労働にあたります。単純労働力は入れないという建前を崩さない日本の外国人政策ですが、専門的技術的人材は積極的に入れるというのが現在の方針です。

で、その在留資格の変更の許可のガイドラインというのがあって、

http://www.moj.go.jp/content/001132222.pdf

その中にこんな項目があるんですね。

(2)原則として法務省令で定める上陸許可基準に適合していること

ア 従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業 していること

従事しようとする業務に必要な技術又は知識に係る科目を専攻していること が必要であり,そのためには,大学・専修学校において専攻した科目と従事し ようとする業務が関連していることが必要です。

具体的にどのような場合に専攻した科目と従事しようとする業務が関連して いるとされるかは,別紙1の「許可事例」を参照してください。

おやおや、「従事しようとする業務に必要な技術又は知識に係る科目を専攻していること が必要であり,そのためには,大学・専修学校において専攻した科目と従事し ようとする業務が関連していることが必要です」と言っていますよ。

日本人学生に対しては「大学で勉強したことは全部忘れて来い。会社で一から叩き込んでやる」というセリフが通用しても、留学生相手には・・・・というか、留学生を採用しようとする際に入管当局相手には通用しないということですな。

なぜか法務省入国管理局においては、日本国の大学というのは職業に必要な技術や知識を学ぶ教育機関であるようなのです。

いやもちろんそれは世界中どこでもそうなっている常識ではありますが、日本ではそれが非常識なのに、話が留学生になると突然再び常識と非常識が再逆転するという目くるめく世界が広がっているわけです。

念のため言いますと、入管当局からすればこれはあまりにも当たり前なのであって、もしそこをいい加減に許してしまったら、専門技術的外国人は入れるけれども単純労働力は入れないという数十年守ってきた大原則がガラガラと崩れてしまいます。だから当たり前。

しかしその「当たり前」が、日本社会の常識と真正面から衝突してしまうというところに、この問題の根深さがあるわけです。

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コメント

留学生外国人選手枠のこの話は分かり易い例ですね…。

ところで、今も昔もドメスティックな日本企業の正社員メンバーシップの「会員要件」とは何でしょうか?思うに、まず学校歴。そして日本語の完璧な読み書きスキルと礼儀作法、さらには「言われた仕事は何でも何処でもやります」という(偽りの)忠誠心を競い合う年中行事シューカツをソツなく通過すること。そして、正社員男女総合職で入社後10年経つと、結果的に組織に残っているのは(刀を外された)日本人男子サムライ集団…。

ところで、最近、自動車や鉄鋼などの日本の大手メーカーで多発している品質不祥事。もちろん日本企業だけの話ではなく、また各々の企業には固有の事情があるのでしょうが…現場では長い間(確信犯的に)共有されてきた悪しき慣習や誤ったオペレーションが温存され、偶発的な告発がない限り組織の内側(労組含む)から全く上がってこないという事実にこそ、メンバーシップ型仕事感覚の本音が透けて見えてきます… メンバーシップの組織文化たる均質性重視の代償は、悲しい哉、こうした事件や事後対応に如実に表れますね。

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