岡﨑祐司編『老後不安社会からの転換』
岡﨑祐司・福祉国家構想研究会編『新福祉国家構想6 老後不安社会からの転換 介護保険から高齢者ケア保障へ』(大月書店)を、編集部の角田三佳さんよりお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b314254.html
「介護の社会化」とは程遠く、ますます「自己責任化」へと向かう介護保険の問題点を整理。近年急展開を遂げる「地域包括ケアシステム」の現在を見据え、介護保険の抜本改革から高齢期ケア保障へと向かう展望を示しだす。
この「新福祉国家構想」のシリーズ、だいぶ前に続けて刊行されていて、その時特に私にも関心の高い『失業・半失業者が暮らせる制度の構築』を興味深く読ませていただいたことがあります。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-eeb1.html
今回の本の中身は、
序 高齢期のケア保障へ――私たちの改革プラン(岡﨑祐司)
第Ⅰ部 高齢期のケアを保障しえない介護保険――歴史と現在
第1章 「介護保険一七年」の軌跡と政府の改革構想(林泰則)
補論 高齢期のケアと地域保健――「社会的入院」の解消と本人が望むケアの実現に向けて(末永睦子)
第2章 地域包括ケアシステムという、地域への責任転嫁と動員体制
1 「我が事・丸ごと」地域体制の押し付けと介護保険改革(岡﨑祐司)
2 新しい総合事業の問題点(中村暁)
第3章 介護保険財政の仕組みと現状(横山壽一)
補論 介護における保険原理主義の破綻――低所得、無貯蓄高齢者の急増(後藤道夫)
第Ⅱ部 高齢期ケア保障の確立へ
第4章 地方自治としての地域ケアシステムとその政策(岡﨑祐司)
第5章 地域ケアシステムにおける医療・福祉・居住(岡﨑祐司)
第6章 ケアのナショナルミニマムの確立へ(末永睦子)
第7章 高齢者ケアの財政論――介護保障のために(横山壽一)
第8章 介護保障につなぐ制度改革(林泰則)
おわりに 福祉国家ビジョンのなかでの介護保障(後藤道夫)
というもので、ただちにコメントするだけの蓄積はないのですが、社会保険における保険原理というものをどう考えるのかというのはなかなか難しいということを感じました。
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