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2017年11月 8日 (水)

山口俊一『同一労働同一賃金で、給料の上がる人・下がる人』

9784502246913_240山口俊一さんより『同一労働同一賃金で、給料の上がる人・下がる人 ―あなたの収入はどうなるか?』(中央経済社)を送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.biz-book.jp/books/detail/978-4-502-24691-3

おそらく今ごろ臨時国会で同一労働同一賃金を含めた働き方改革一括法が成立しかかっているだろうという見通しで準備された本だと思われます。というのも、本文の冒頭、第1章の最初のパラグラフに、

・・・・2017年度中には法制化される見通しです。

と書かれてあるからで、解散総選挙で来年に跳んで行ってしまいました。

いや、とはいえ、この問題に関する実務家目線からの解説書は大変重要であることに変わりありません。

バブル崩壊以降、企業の人事・賃金システムは日本型成果主義システムが導入され大きく変わったかに見えましたが、若手より中高年、女性より男性、独身者より家族持ち、非正規社員より正社員と、根本のところではこれまでと変わりありませんでした。しかし、政府が働き方改革の目玉として進める「同一労働同一賃金」により、日本企業の人事・賃金システムが大きく変わろうとしています。本書では、著者の長年にわたる人事コンサルタントとしての知識・経験を踏まえ、同一労働同一賃金によって企業の人事・賃金システムはどのように変わるのか、正社員、非正規社員(派遣社員、パート・アルバイト)など、雇用形態による待遇にどのような変化が起こるかについて考察します。

というわけで、下記目次に沿って、丁寧に解説していきます。

第1章 同一労働同一賃金って、どういうこと?
 1.「同一労働同一賃金が実現できない!」本当の理由は年功賃金
 2.「同一じゃない労働・同一賃金」の不思議な国・ニッポン
 3.同一労働同一賃金で、正社員の給与も変わらざるを得ない

第2章 非正規社員へのインパクト
 1.パート・アルバイトの賃金上昇を阻んできた税制と既得権
 2.最低賃金千円時代も是正を後押し
 3.もしも、イオンが同一労働同一賃金にしたら
 4.2018年に大量発生する「無期契約社員」は、正社員ではない?
 5.派遣社員は何年で正社員になれるか?
 6.限定正社員(多様な正社員)は広がるか?
 7.限定社員は、グローバルスタンダード

第3章 正社員へのインパクト
 1.中高年社員と若手社員の現状と方向性
 2.男女格差の現状と方向性
 3.家族持ちと独身者の現状と方向性
 4.親会社・子会社社員の現状と方向性

第4章 「働き方改革」に要注意
 1.長時間労働規制でも、管理職、フリーランスは蚊帳の外
 2.「長時間労働是正」で、収入を減らさない方法
 3.「テレワーク」「在宅勤務制度」で通勤地獄が解消されるか?
 4.ブームに乗るな!フリーランスという働き方の落とし穴
 5.シニア社員と役職定年者から始める、兼業・副業のメリット

第5章 寿命百年時代の人事のあり方
 1.60歳で給料が半減するのは、やはり年功賃金の副作用
 2.定年後の賃金ダウンは違法!?注目の判決
 3.65歳定年時代に適したシニア社員制度は、「多様化」の時代へ
 4.退職金はいくらもらえる?ミドル層は老後に備えよ
 5.確定拠出年金は、これからの時代の福利厚生になる

第6章 経営者・役員はどうなる
 1.実は、社長の給料も不公平。同一労働同一賃金を適用するには
 2.社外取締役が役に立つなら、報酬一千万は高くない

第7章 業界別の人事環境と方向性
 1.製造業‥「みんな一緒」の給料体系は耐えられなくなり、職種別賃金へ
 2.卸売業‥営業マンの給料は、個人業績からチーム成果の時代へ
 3.小売業‥コンビニが24時間営業を止めれば、給与水準が改善される
 4.IT業‥30歳までの給料を引き上げ、それ以降は横ばいになる人も
 5.建設業‥若者離れ、人手不足に悩む建設業界は、移民に頼るしかないのか?
 6.物流業‥宅配は、共同配送や再配達有料化で、生産性と待遇を引き上げる

第8章 結局、どうしたらいいの?
 1.パート社員は、週20時間未満にとどめるか、同一賃金を実現する会社に移る
 2.新卒者、就職先の選び方
 3.若手社員・ミドル社員は、生産性の高い会社を志向する
 4.賃金水準を上回るだけの組織貢献を果たす
 5.50代以降は副業をはじめ、将来の選択肢を増やしておく
 6.女性社員は、女性活躍・両立支援を推進している会社を志向する
 7.経営者は、「働き方改革」に対応した会社に変革する

山口さんの言いたいことははじめにの最初のところに書かれています。

若手より中高年、女性より男性、独身者より家族持ち、非正規社員より正社員、子会社社員より親会社からの出向者、定年後より定年前の方が給料水準は高い。日本企業における、これまでの常識ではないでしょうか。

これら長年続いてきた日本人事のジョーシキが、崩壊するかも知れない。「同一労働同一賃金」とは、それほどインパクトのあるテーマなのです。

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