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2017年11月 7日 (火)

神林龍『正規の世界 非正規の世界』

24820神林龍さんから大著『正規の世界 非正規の世界――現代日本労働経済学の基本問題』(慶應義塾大学出版会)をお送りいただきました。ありがとうございます。本書は神林さんの初の単著にして、日本の労働問題を縦横無尽に分析している名著でもあります。

http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766424829/

なんと言っても版元の宣伝文句が半端ない。

働き方改革の根底に潜む問題を壮大なスケールで展望!

労使自治は“桎梏”か“根幹”か? 著者は現代の労働市場で最も顕著な問題を「正規の世界と非正規の世界の不釣合いな関係」と捉え、
富国強兵からシャッター商店街に至る1世紀余りを労働経済学・数量経済史・法と経済学など多彩なアプローチ・分析手法を用いて概観。
現在から未来へとつながるわが国の働き方のトレンドを展望する渾身の力作!
▼私たちは、日々働いている自分たちの労働市場の全体像について、実はあまりよくわかっていないのではないだろうか? この前提からスタートして、現状をより深く理解するために、戦前からの歴史的経緯、ビッグデータを用いた数量分析、「 法と経済学」の視点など、多彩なアプローチを用い壮大なスケールで描き出す!
▼著者はいま数多く存在する労働市場の問題の中で、特に「正規労働と非正規労働の不釣合いな関係」に着目し、その要因、格差の存在、二極化する仕事、自営業の衰退など、まさにわれわれが日々直面しているの解明に正面から取り組んでいる。次世代の労働経済学界の中心的存在の一人である著者、初の単著!

現代日本の労働市場の姿を個別のトピックだけでなく、“全体”として捉えるべく「正規・非正規の関連」を機軸に①日本的雇用慣行成立に至る歴史的経緯、②政府統計等のビッグデータを用いた数量経済史的手法からの分析、③労働法や雇用関係法等「法と経済学」からの視点、といった多彩なアプローチを展開。個人による仕事とは思えない幅広いスケールで、現在の労働市場を描き出す意欲作!

目次は下に掲げるとおりですが、何しろ冒頭、『ああ野麦峠』から始まって、女工供給組合の話が延々と続き、そしてILO条約に基づく公共職業紹介事業がいかに地方の抵抗でうまくいかなかったかという話、口入れ屋は身元保証をしてくれるけれども公共はしてくれないからダメだみたいな話が、戦時体制下で国営化している話と、ここまでで2章。

タイトルになっている正規と非正規についても、期間の定めよりも『呼称』が重要というところに、日本の非正規の特徴を見出し、それがむしろ自営業の減少に代わって増えてきたことを示しています。いやいやこの辺りは精密な分析がいろいろされているので、こんな片言隻句で紹介しない方が良いかもしれない。

他にあまり似たような議論を見たことがないのが第7章で、ジョブをさらに分解して、タスクレベルで仕事がどうシフトしてきたかを分析していて、大変興味をそそられました。民主党政権の失政で仕分けされてしまったキャリアマトリックスを活用した分析だという点も重要でしょう。

序 章:本書の目的と構成

 第Ⅰ部:制度の慣性

第1章:戦前日本の労働市場への政府の介入
第2章:日本的雇用慣行への展開

 第Ⅱ部:正規の世界、非正規の世界

第3章: 正規の世界
第4章:非正規の世界
第5章:世界の掟― “不釣り合い” の要因

 第Ⅲ部:変化の方向?――現代の労働市場を取り巻く諸側面

第6章:賃金格差――二極化する賃金
第7章:二極化する仕事――ジョブ、スキル、タスク
第8章:自営業はなぜ衰退したのか
第9章:存在感を増す「第三者」

終 章:現代日本労働経済学の基本問題

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