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2017年11月15日 (水)

若森章孝・植村邦彦『壊れゆく資本主義をどう生きるか』

12295201711091706561_2 若森章孝・植村邦彦『壊れゆく資本主義をどう生きるか――人種・国民・階級2.0』(唯学書房)を著者のおひとり若森章孝さんよりお送りいただきました。

https://www.yuigakushobo.com/cont11/main.html

深刻化する世界的な分断と排除の根源にはナショナリズム/レイシズム/階級問題がある

若森さんのお手紙によると、20年以上前に出されたバリバールとウォーラステインの『人種・国民・階級』のアップデート版という趣旨とのことです。

目次は次の通りですが、各章とも論文と対談から構成されています。

プロローグ 日本社会はどこに向かうのか
第1章 新自由主義と自由、民主主義
第2章 国民/ナショナリズム
第3章 人種/レイシズム
第4章 階級/階級闘争
第5章 「資本主義の終わり」の始まりとオルタナティブ
エピローグ 三つの危機に応えられない資本主義

いくつか心に引っかかった点は、第1章の対談で、若森さんが「私もEUをプラスに描き出しすぎてきたことを反省しています」と語っていて、基本的には市場統合のプロジェクトであるEUにおける「ソーシャル・ヨーロッパ」が金融危機以降のプロセスでほぼ完全に金融原理に抑えられたことへの思いがにじみ出ています。

03414171 若森さんの前著『新自由主義・国家・フレキシキュリティの最前線』については、4年前に本ブログで紹介しておりました・

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-b31e.html

レギュラシオン派の経済学をベースに、近年のEUの労働社会政策、とりわけフレクシキュリティや移動型労働市場の動向を分析されている若森さんの、過去10年以上にわたるモノグラフをまとめた本です。

第2章、第3章は植村さんの大変ブリリアントな整理をベースに、とてもスリリングな議論が展開されていって、大変面白く読めました。

85_559 ちなみに、植村さんの『市民社会とは何か』がとても面白かったので、自主的に本ブログで紹介したこともありました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-a130.html (特殊日本的リベサヨの系譜)

あえてわたくしの関心に引き付けすぎた物言いをしてしまえば、イギリス流の「シビル・ソサエティ」でもなければドイツ流の「ビュルガーリッヒ・ゲゼルシャフト」でもない(にもかかわらず、それらそのものだと信じ込んで拵えあげた)、はっきり言えば戦時中の「暗い谷間の時代」に日本のインテリゲンチャが勝手に脳内で膨らませた妄想に過ぎない「しみんしゃかい論」という代物の、そして戦後高度成長期になっても依然としてそれを膨らませ続けたその脳内妄想ぶりをこれでもかこれでもかといじめ抜くように露呈せしめている本です。
高島善哉、内田義彦、平田清明といった、著者にとっては師匠筋に当たる人々の脳内妄想ぶりをここまであからさまに書くというのは、わたしにはよく分かりませんがなかなかすごいことなのではなかろうかと想像されます。

 

 

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