労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
昨日、厚労省の「第4回柔軟な働き方に関する検討会」が開かれ、雇用型テレワーク、自営型テレワーク、兼業・副業のそれぞれのガイドライン案が提示されたようです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185391.html
中身は大体想定の範囲内、というか、既に3月の働き方改革実行計画にそう書かれていたのをそのままなぞるようなものですが、このうち今後極めて重要な自営型テレワークについては、むしろその中長期的な課題としての法的保護の話は別の「雇用類似の働き方に関する検討会」の方でじっくりと検討されていくことになるはずです。
で、いろいろと話題になっているのは兼業・副業についてで、公労使それぞれからいろいろと異論が出たようですね。ここに提示された「モデル就業規則の改定の方向性(副業・兼業部分)」というのが、こうなっています。
○ 労働者の遵守事項における副業・兼業に関する規定(「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」)を削除のうえ、以下の規定を新設する。
(副業・兼業)
第65条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務が第11条第1号から第5号に該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
ガイドライン案を見ると、現行法制を前提にした書き方になっていて、実行計画に書かれていた雇用保険、社会保険、労働時間管理や健康管理、労災保険給付の検討はとりあえず先送りということのようです。
もう少し実体的な制度の検討までやるのかと思っていましたが、今回は「兼業・副業いいよっ!」と笛を吹くだけのようです。笛を吹くだけで踊るかどうかはいささか疑問ですが、上記諸制度の見直しは本気でやり出すとかなり時間がかかるであろうことも確かなので、とにかく実行計画の工程表に書かれているとおり、今年度はガイドラインとモデル就業規則だけなのですね。労働法を専門とする委員としては、あまり面白くない検討会だったかも知れません。神吉さんにしろ、小西さんにしろ、労働法学者として、具体的な法制度設計のために呼ばれたと思っていたでしょうから。
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昔っから「兼業農家」ってのはあるわけで、農業を法人化したら兼業できなくなるのはおかしい、ってところから組み立ててみたらいいんじゃないですかね。地方公務員と農業を兼業している人は多そうだし。
投稿: ちょ | 2017年11月21日 (火) 17時38分