労使コミュニケーション再考@『情報労連REPORT』10月号
小樽での労働法学会から帰ったら、『情報労連REPORT』10月号がとどいていました。特集は「労使コミュニケーション再考」です。「再考」であって、「再興」ではなく、いわんや「最高」でもありません。
http://ictj-report.joho.or.jp/special/
戎野淑子、野田知彦、上田眞士といった研究者に混じって、常見陽平さんも登場していますが、いかにも常見さんらしい切り口になっています。
http://ictj-report.joho.or.jp/1710/sp05.html
・・・経営者がこれほど従業員とコミュニケーションを取りたがっている時代はありません。ただ、従業員の意見は聞くのに、それが労働組合の意見だと身構えてしまう。労働組合の代表だとなぜ話を聞こうとしないのかが問われていると思います。
・・・経営者はエース社員の意見は聞きますし、辞めてほしくないから若手の意見も聞きます。経営者が耳を傾けるのは、露骨に言えば「もうかる意見」です。資本主義の権化みたいな話ですが、「もうかる提案」を労働組合もする必要があると思います。
ではどういう話をしろというのかというと、
・・・私は少子化が社会を変えることに希望を持っています。人事担当者向けのセミナーでは、「人を採用できない企業は生き残れないと、経営者にたたきつけろ」とたき付けています。人口減少は実際に始まっていて、地方だと顕著に起きています。労働条件に魅力がないと人が採れません。現場をよく知る労働組合にとって、これは最後のチャンスです。
働きやすい職場とは何か、こうすれば採用できる、早期退職しない。そういうことを労働組合が提案できるかどうかにかかっています。経営者が考えもしなかったような発想の軸を提起することも大切でしょう。これから求められるオフィスのあり方や、優秀な女性を採るための働き方のあり方。労働組合がこうしたポイントで対話している例は少ないと思います。
私なら、賃金や労働時間よりも、採用達成率や早期離職率といったデータを経営者や人事部に突きつけて闘います。ぎくっとするはずですよ。労使コミュニケーションの突破口は人手不足にある。これは揺るぎない結論です。
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