鎌田耕一『概説労働市場法』
鎌田耕一さんより『概説労働市場法』(三省堂)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/roppou/rodo_shakai/gaisrodomktho/
労働市場の歴史と機能、その中で職安法・雇用対策法・雇用保険法・職業能力開発促進法・障害者雇用促進法などが果たす役割について解説。人と仕事とを結びつけ、安定した職業生活を送るための制度を概観。
普通の労働法の教科書ではどうしても継子扱いされがちな労働市場法を、それだけで一冊のテキストブックにした意欲的な本です。
ここ十年ほど、労働市場法政策のまっただ中で活躍されてきた鎌田さんならではの本と言えましょう。
第1章 労働市場と労働市場法
第2章 労働市場法の概念と歴史
第3章 労働市場法の理念
第4章 労働市場法の目的と体系
第5章 労働市場の機構
第6章 労働市場法の実効性確保
第7章 職業仲介法
第8章 雇用保険法
第9章 雇用政策法
第10章 職業能力開発と法
この目次だけ見るとやや平板な感じがするかも知れませんが、「日本的雇用慣行」、「クラウドソーシング」から「メンバーシップ型とジョブ型」まで、多くのコラムがいろいろと興味深いトピックをちりばめています。
一点だけ気になったことを。
本書では、求職者支援制度を、第8章の雇用保険法の最後ではなく、第10章の職業能力開発と法の最後に入れています。これは、法の建前を真っ正直に受け取ればその通りです。なぜって、この法律の正式名称は「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律」なのですから。でも、その前身の基金訓練、そのまた前身の貸付制度のときから、この制度の本質が、雇用保険を受給できない人にお金を上げることであり、それがモラルハザードにならないための言い訳として職業訓練の受講を条件としたことは明らかなので、この位置づけは正直とても違和感があるのです。
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