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2017年10月27日 (金)

賃上げ2%と3%とリベラルとソーシャルと

今月、連合が賃上げ要求水準を2%程度と言った舌の根も乾かぬうちに・・・

https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2018/press_release/press_release_20171019.pdf

所得の向上による消費拡大に向けては、すべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」の実現が必要である。これまでの賃金引き上げの流れを継続・定着させるためにも、月例賃金の引き上げにこだわり、到達目標の実現やミニマム基準の確保に取り組む。その上で、賃上げ要求水準は、2%程度を基準とし、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め4%程度とする。

経済財政諮問会議で安倍首相が3%の賃上げを期待すると言ってしまうというこの構図。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/1026/interview.html

私自ら先頭に立って、全力で取り組んでいきたい。
賃上げは、この4年間、今世紀最高水準で続いている。安倍内閣では、最低賃金をこの4年間で100円引き上げた。パートで働く方々の時給も過去最高となっている。こうした流れを更に力強く、持続的なものとしていかなければならない。
賃上げは、もはや企業に対する社会的要請であり、来春の労使交渉においては、3%の賃上げが実現するよう期待したい。

歪んだアメリカ方言を忘れて素直に見れば、リベラル民主党という名前の文字通り経営側が組織的に支持する政党の政権が、労働組合よりも高い賃上げを主張するくらい「ソーシャル」であり、昔の社会党とか民社党の末裔の「ソーシャル」のはずの、労働組合が組織的に支持しているはずの政党は、それとは関係のないことでてんでに分裂して「リベラル」とか口走っているという、このわけのわからない状況・・・。

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コメント

いえいえ…。安倍首相の「賃上げ3パーセント」(ベア、定昇全て込み)の要望対して、連合は「賃上げ4パーセント程度(ベア2パーセント、定昇2パーセント)とちゃんと言ってますよ〜。

(ブログ読者皆さんへ)釈迦に説法を承知で申し上げますが、楠田丘氏が戦後築き上げた職能資格制度。賃金については「賃金表」に絶対金額が号俸ごとに記載され、毎年の評定段階に基づいて号俸を上げるステップに差を設けるという運用で成績別に「定昇」に差をつける一方で、ベア(底上げ)とはこの号俸別金額表そのものを書き換えていくことです。

昨今のメディアでいうところの「賃上げ」とは、こうしたベアと定昇の両方合わせたトータルのサラリーインクリースでしょうから、ここでは「連合(民進党)は4パーセント、安倍首相(自民党)が3パーセント」を要望しているということでわずかではありますが労組の代表たる連合は「高め」の数字を出しているかと…。

ところで、この議論の前提は「賃上げ= ベア プラス 定昇」ということなのですが、実際のところ(中小企業はよく分かりませんが)今時の日本の大企業で昔ながらの号俸別絶対金額記載の「賃金表」を未だに使っている企業がどれだけあるのでしょうか?

私の理解では、例のミレニアム前後の「成果主義」の洗礼を受けたほとんどの日本企業においては、上下限の金額のみが決められた「レンジ給」(範囲給)で賃金改定が運用されているはずです。そこではベア(ハコの上下移動)は殆ど行われず、賃上げすなわち定昇(ニアリーイコール定昇)ということで運用されていると思います。

いやいや、労働者個人にとってはベア+定昇が賃上げですが、定昇分というのは内転によって総額人件費の上昇になりませんから(年齢構成等一定の簡単なモデル)、企業にとってはベアが賃上げの真水部分です。
そして、デフレ脱却のためというマクロ経済的関心からの賃上げにとっても、労働者内部で相殺されてしまう定昇分を除いた、真水のベア部分こそが問題であるはずで、そこに定昇込みの数字を入れるのはそれこそ水増しになりましょう。

ま、実は上のエントリはそこよりも、「リベラル民主党」(LDP)政権の方がずっとソーシャルな政策を打ち出すというここ数年の傾向を皮肉ってみただけですけど。

Hamachan 先生、ご回答ありがとうございます。マクロ経済的観点からのご指摘はご尤もですし、その説明(寸胴型モデルの内転原資の議論)は理解できているつもりです…。いずれにせよ、私たち労働者全員が最近の好景気〜21年ぶりの日経平均株価、過去最高益の日本企業の高業績〜をしっかりと「実感」できるよう、来年の賃上げはぜひともトータル3ー4パーセントは欲しいですね。

日本の左派が、「大きな政府」を目指している、とみなされるのを嫌う結果、左派でありながら「小さな政府」を目指すという、先生いうところの「リベサヨ」が生じるのでしようかね。

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「社民的要素」と言えば、「大きな政府」を想起して、その時代遅れを指摘する声があがるかもしれない。しかし、社会民主主義と「大きな政府」とは同義語ではない。

坂野潤治. 日本政治「失敗」の研究. 講談社, 2015
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社会民主主義とは「大きな政府」ではない、という主張に困惑するわけですが。著者は「社会」ではなく「民主主義」の方に重きを置いていて、「社会」の方にはあまり関心はないのか、と思うものの。

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民主党が「社民的要素」を吸収して二大政党制を実現する以外に、国民の政治的関心を高める道はない。
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自民党と民主党の二大政党制ではだめで、「社民的要素」が足りないとおっしゃる。「社民的要素」とは一体...

結局のところ、日本の左派を目指すものは「小さな政府」を通じて福祉国家を目指すという矛盾した夢想なのかもしれませんね。結果、「小さな政府」の方は社会党政権、民主党政権で実現するものの、福祉は財源不足で縮小する、という結果に終わるのでしよう。

結局、企業別の労働組合の一番悪い側面が出てきてるんですよねぇ。
会社がなくなったところで仕事が無くなるわけではないので放り出されたって行きていけるわけですが、なんだか必要以上に「無職になる」事を怖がる人が多い様で。

つまらない感想ですみません。

安倍内閣では、国家が労働者のためにソーシャル(社会主義的)な政策を実施しようとしているわけですが、昔そのような名前の政党が外国にあったような気がします。

今朝の朝日新聞に米国ラストベルト(オハイオ州郡部)の民主党幹部へのインタビューが掲載されていました。ラストベルトは事前の世論調査を覆してトランプ氏が勝ち当選の要因となった地域です。
このインタビューを見ると米国でも(米国でいう)リベラルが盛り返すのは大変そうです。私は安倍政権の集団的自衛権や憲法変更に反対なので(日本でいう)リベラルに頑張ってほしいのですが、それらの問題は選挙ではサイドディッシュであり、メインディッシュの政策で対抗する必要があるようです。

幹部の次のような発言が印象に残っています。
・ここでは民主党は雇用の問題より(性的少数者が男女どちらのトイレを使うべきかという)トイレの問題を重視する政党だと思われている。
・少数者の権利保護は重要な問題だが、選挙ではサイドディッシュでありメインディッシュは雇用問題であるべきだ。大統領選挙で”夕食のメインは大きなステーキです”というトランプ氏に対して、民主党は”夕食のメインは健康に良いブロッコリーです”と言っているようだった。
・ここでは共和党の予備選挙で(それまで民主党支持だった人が多数参加したため)投票用紙が足りなくなった。
・民主党は大工、美容師、工場労働者などの両手を汚し、仕事の前ではなく後に(汗を流す)シャワーを浴びる人々に敬意を払うべきだ。彼らは自分の仕事にプライドを持っているので、(民主党の雇用政策である)”両手を汚す仕事は将来性がないので、再教育を受けパソコンを使う仕事に就くべきだ”という考えを支持しない。
・トランプ氏や支持者を人種差別主義者と批判しても民主党の支持にはつながらない。有権者に響く方向性を示し、メッセージそのもので勝たなければならない。
・(トランプ氏の支持率が低下しているという質問に対して)少なくともここでは支持者はほとんど離れていない。世論調査を信じてはいけない(選挙の時も世論調査では勝つはずだった)。トランプ支持は恥ずかしいという認識があるので、支持者は調査に正直に答えない人も多い。

ある評論家が、政治家は自分がやりたい分野以外の政策の方が(関心が薄く冷静に判断できるので)かえって良い結果が得られる と言っていました。安倍首相にとって労働政策はやりたい分野ではない(やりたいのは憲法改正や防衛分野)ので、最低賃金や給料の引き上げや労働時間短縮などの政策を実施できるのかもしれません。安倍内閣の経済政策に対て、”大好きな肉を食べるためにピーマンや人参を我慢して食べる子供のようだ”といった人がいました。

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