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2017年9月 5日 (火)

奴隷的労働への適応力

Hyoshi36_2昨日紹介した『POSSE』36号で、一番心に残ったのは、実は特集記事じゃなく、今野晴貴さんと藤岡伸明さんの対談記事「海外でのノンエリート労働は逃げ道にならない!?」でした。

藤岡さんが刊行した『若年ノンエリート層と雇用・労働システムの国際化』という本をめぐっての対談なのですが、その中にこういうやりとりが出てきて、考えさせられます。

藤岡 ノンエリートは経済資本や文化資本、語学力があまりないわけですが、日本人の場合、中国や東南アジアのコールセンターやオーストラリアのサービス業などどこに行っても適応できてしまうフレキシブルな労働力として移動しています。要するに権利に関係なく働く、極言すれば奴隷的な労働への適応力が高いということです。

今野 非常によくわかります。労働規範が職業的に形成されている欧米社会で育った人は「この仕事でこれ以下の条件はあり得ない」という強い権利意識を持ちますが、日本は「企業主義社会」であるため、会社員は会社にいわれるまま、入った先でどんな条件であってもその状況に適応していくマインドしかありません。その違いが労働者の身体に刻み込まれているということなんでしょう。

藤岡 2008年にオーストラリア政府がワーホリの就労状況を調べた調査では、日本人は主要国の中で平均時給が最低で13.6ドル、次に低いのが韓国人で13.9ドル、平均は16.2ドルでした。平均時給と比べて日本人は2.6ドル低い。・・・飲食業やサービス業では、日本人の方が仕事量は圧倒的に多いのに、少ない時給でしかも一生懸命働くといったことが起きているようです。客観的に英語力が低いことに加え、まさに労働者としての意識の在り方が合わさって足下を見られ、驚くほど大きな差が生まれています。・・・・

いやぁ、これまさに日本的働き方の「美徳の不幸」が露骨に現れている姿としかいえませんね。

本ブログで何回も繰り返してきた生産性概念の取り違えがワーホリの若者たちの心の奥底にまで染み込んだ成果というのは皮肉がきつすぎましょうか。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-8791.html(なにい?労働生産性が低いい?なんということだ、もっとビシバシ低賃金で死ぬ寸前まで働かせて、生産性を無理にでも引き上げろ!!!)

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