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2017年9月 7日 (木)

パート・有期法へ

昨日の労政審同一労働同一賃金部会(正式には間になんたら分科会がだらだら続くのですが煩わしいので省略)に、改正法のほぼほぼ法案要綱が提示されました。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000176560.pdf

「改正法案要綱( イメージ)」といってますけど、まあほとんど法案要綱です。

内容は建議を条文化したものなんですが、そもそもどういう法律にするのかという点について初めて明らかになりました。

一言でいうと、労働契約法から20条を引っこ抜いて、パート法の8条に入れる。その他のパート法の規定も、(一部を除き)全てパート&有期に適用し、そもそも法律名自体「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」にする。

派遣法は労働市場法でもあるので、そちらにいろいろと入れ込む。例の労使協定も実行計画通り。

まあ、大体そういう風になるだろうなあ、と思っていたようになっています。

「パート・有期法」という立て方について、もちろんドイツ法を思い出す人も多いでしょうが、ここではほとんどの人が忘れているであろうむかしの社会党が提出した法案のことを。

4623040720拙著『労働法政策』から関係部分を引きますと、

社会党の法案

 法政策として初めて有期労働問題をそれ自体として提起したのは、社会党が1983年10月に提出した「短期労働者及び短時間労働者の保護に関する法律案」である。名称から分かるようにこれはパートタイム労働者と短期労働者を対象とした法案であるが、短期労働者に係る規定が多く盛り込まれていて、いずれも今日の有期労働契約問題においても重要な課題となっている。
 同法案は、まず「就労させる業務が、季節的業務、事業の期間が予定される事業に係る業務その他短期労働者を雇い入れることについてやむを得ない事情がある業務である場合を除き、短期労働者を雇い入れてはならない」と、有期労働契約の原則禁止を打ち出し、これに違反した場合は期間の定めなき雇用が締結されたものとみなすとしている。そして「短期労働者が当該雇用期間を超えて引き続き使用されるに至った場合には、当該労働契約の当事者間に、引き続き使用されるに至った日に、一般労働者としての労働契約が締結されたものと見なす」と、適法な短期労働者も期間を超えれば直ちに期間の定めなき雇用に転化するという仕組みを示している。
 均等待遇関係では、賃金と有給休暇や福利厚生については短期労働者も不利益な取扱いをしてはならないとしているが、昇進、異動、解雇については短時間労働者のみを規定し、短期労働者は外されている。また、短期労働者の優先雇用の規定もある。
 前述のように、この法案は審議未了廃案を繰り返し、結局1992年2月に4野党共同で「短時間労働者の通常の労働者との均等待遇及び適正な就業条件の確保に関する法律案」が提出されるのと入れ替わりに消えていった。同法案はもっぱらパートタイム労働者のみを対象とするものであり、有期契約労働問題は一旦法政策の土俵から消えることになった。

今となっては超トリビアですが、その昔日本には日本社会党という政党があってじゃなあ、そこがこういう法案を出したこともあったのじゃ。そうじゃのう。

しかし、その法案の目から見ると、逆に、現在労働契約法18条、19条にある無期化とか雇止め法理はこのパート・有期法に来ないのか、という疑問も湧きます。

そこは、パート法だと13条で通常の労働者への転換とバッティングしてしまうので、そこは分けないといけないということなのでしょう。

(追記)

労務屋さんも改正法案要綱を取り上げていますが、

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20170913#p1

その中で、

ということで労契法については20条は削除されると明記されているのですが、「その他所要の規定の整備」が具体的に何なのかはよくわかりません。パート労働法改めパート・有期労働法(?)のほうにも「ほか、この法律の規定の対象に有期雇用労働者を追加する」となっていますので、労契法の有期に関する規定(5年ルールとか雇止め法理とか)もこちらに移すのかな。

と書かれていますが、いや移すのであれば労契法から18条、19条も削除しなければならないはずで、そうなっていないのは、そちらは移さないということです。

その理由は、上述のように、現行パート法には既に第13条として、

第十三条  事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。
 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。
 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。
 一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

という規定があり、パートの通常労働者への転換はこちら、有期の無期転換は労契法という形を維持するからだと思われます。

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コメント

「みんな、フェアプレイでいこう」〜プロデビュー10年を迎えてようやくメジャーになりかけてきた労契法…。中でも一番人気だった20条が早々とパート法にスカウトされるとはサプライズ〜。とはいえ、ややもすれば最近20条のひとり人気にあやかり過ぎって感じで、なんとなく労契法そのものが「有期」労契法と勘違いされかねない勢いでしたので、結局この移籍話はこれはこれでよいのかも…。

ただ、それにしても件のパート法8条。今でも十分に長過ぎる条文なのに、新たに有期契約者も一緒になってしまったら一般に理解不能のレベルに達しちゃいますよね。
ーーーーー
現行パート法 第八条 
事業主は、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(以下「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているもののうち、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(以下「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

投稿: ある外資系人事マン | 2017年9月 7日 (木) 21時20分

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