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大学教育の「実践性」@『JIL雑誌』10月号

687_10『日本労働研究雑誌』10月号は、別に図ったわけでも狙ったわけでもないですが、「大学教育の「実践性」」が特集です。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2017/10/index.html

特集:大学教育の「実践性」
提言 日本の大学に職業教育はどう定着するか? 秋永 雄一(放送大学客員教授)
解題 大学教育の「実践性」編集委員会
論文 「専門職大学」の意味するもの 金子 元久(筑波大学特命教授)
大学教育需要を考える 田中 隆一(東京大学教授)
社会人の学び直しからみた大学教育 塚原 修一(関西国際大学客員教授)濱名 篤(関西国際大学学長)
「新しい」大学教育─コンピテンシーに基づく教育(CBE)の実践 青木 久美子(放送大学教授)
「実践性」から見た高専教育─キャリアとの関連に着目して 濱中 義隆(国立教育政策研究所総括研究官)
紹介 大学生の就職活動の変化─「JILPT2005年調査」と「内閣府2016年調査」との比較から 中島 ゆり(長崎大学准教授)堀 有喜衣(労働政策研究・研修機構主任研究員)
石川県におけるインターンシップ推進の状況 門間 由記子(ジョブカフェ石川インターンシップコーディネーター)

このうち、例のG型、L型で話題を呼んだ専門職大学について、金子さんが概観的に論じています。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2017/10/sum1.html

2017年に、「専門職大学」および「専門職短期大学」の制度が作られることになった。もともと大学と職業教育との関係は、単に職業的要求によるものではなく、社会的な階層性を含むきわめて複雑なものであった。今回の改革も戦後の単線型教育システムの中で例外的に作られた専門学校が、その地位を正当化し、大学との競争力を獲得するために政治的な力を動員したという側面も少なくない。またその背後には既存の大学への社会的な批判もあった。しかしこの改革は既存の大学においても「専門職課程」を作ることをも可能とした。21世紀の社会では産業構造が多様化し、流動化するとともに、モノや情報、あるいは人に対するサービスの需要が拡大し、それに対応していわば「流動的専門職」の需要が発生している。それに高等教育が対応することは大きな意味をもつ。その意味で、従来の大学も含めて、この新しい可能性に注目することが必要であると考える。

また、高専について濱中さんの分析は大変興味深いものでした。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2017/10/sum5.html

高等専門学校(高専)は、実験・実習等を重視した教育プログラムを特徴とする実践的な技術者養成を行う機関として高く評価されているとされる。一方で学校類型としては、その量的規模の小ささもあり、制度発足以来50年以上が経過したにもかかわらず、一般社会における認知度は高くない。そもそも高専の機能や社会的評価をアピールするためのエビデンスすらほとんど存在しないのが現状である。本稿では、こうした現状認識の下、1976〜2008年の高専卒業者を対象とする調査を用いて、かれらの進路・キャリア等の分析から高専卒に対する社会的評価の現状を明らかにするとともに、「実践的」と評される高専教育を卒業者自身がどのように認識しているのかを検討した。過去40年余の間、技術者養成の高学歴化は著しく進行したが、高専入学者の学力、卒業時の就職状況にほとんど変化はなく、また就職後のキャリアからも、高専卒は依然として大学工学系卒業者並みの処遇を受けていることが明らかになった(ただし工学分野における大学院修了者の増加により大卒=学士卒の地位低下が生じていることも否めない)。一方、高専在学中の経験で現在、最も役に立っているのは、「専門科目の講義」や「専門の実験・実習」であること、さらにそうした「役立ち度」の規定要因として卒業後の自己学習の状況が重要であることを示した。高専教育の「実践性」を支えているのは、日常の授業科目で得た知識・技術が基盤となり、その後の自己学習を通じて応用力を高める点にあることが示唆された。

その他の論文も参考になります。

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