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2017年9月 9日 (土)

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

昨日、労政審労働条件分科会にひとまとめ法案の要綱が提示されたようです。

見ると、労働基準法第36条になるであろう「時間外労働の上限規制」の部分がそれだけで7頁にも及ぶ長大なものになっており、本来誰もが読んですぐわかるべき法律が、誰が読んでもよくわからない法律に、どんどん進化していっているようですね。いままで限度基準にすら出てこなくて、「労働基準局長が指定する事業または業務」だったもの(沖縄と鹿児島の砂糖製造業)まで四階級特進で法律上に堂々と顔を出すに至ってますし。

マスコミの注目は依然として同じ労基法の規定の同居だけのようなので、それ以外の法律の規定で気がついた点をいくつか。

まず、雇用対策法の改正で法律名「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」になるようです。長ったらしくて個人的には好みじゃないですが、シンプルに「労働政策基本法」とかはやはり無理だったのでしょうか。

国の施策には3つ挙がっているのですが、一つ目がワークライフバランスと労働時間短縮等の労働条件改善、多様な就業形態、均衡待遇とやたらにでかいトピックを詰め込んでいて、二つ目が女性、育児介護、母子父子家庭と中くらいのトピックであるのに対し、三つ目が病気治療と仕事の両立という、どちらかというと小さなトピッになっているのが、いかにも不均衡な感じを与えるのですが、これはこの三つ目が働き方改革で一項目立てられて、生稲晃子さんをわざわざ委員にしたことに敬意を表しているのでしょうか。

現時点では法令上で治療と仕事の両立について規定したものはないので、この規定がトップダウンでいきなり登場することになります。

一つ目に戻ると、今回の同一労働同一賃金関係の法改正の元になる部分が、おそらくかなり意図的にでしょうが「雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保」という表現になっています。

パート、有期、派遣といった雇用形態の違いだけではなく、将来的には個人請負やクラウドワーカーなどのような就業形態の違いにまで射程が及ぶような根拠規定をさりげに置いておいたというところでしょうか。

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コメント

昨日関係者に聞いた話では、この長大な法律名は内閣法制局の意向を反映したようです。職業転換給付金の実務を定めているので基本法と称するのは不可との見解だったとのこと。

だったらそんな規定はさっさと削除して、お題目と基本方針の根拠法にしてしまえば・・・、と言うわけにはいかないのでしょうね。

実は、この職業転換給付金、世に雇用助成金は数あれど、法律上に麗々しく1章を立ててその名を明記しているのはこれだけなんですね。
あの有名な雇用調整助成金ですら、雇用保険法上はある条のある項のある号に「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合において、労働者を休業させる事業主その他労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、必要な助成及び援助を行うこと」とあるだけ。

この両助成金の歴史をめぐっては、かつて『季刊労働法』2013年冬号(243号)に「雇用助成金の半世紀」という概説を書いたことがありますが、しかしその職業転換給付金がネックになって基本法に進化できないわけですね。

というか、実をいうとその後雇用対策法は累次の改正で、ほかの法律に放り込めないような個別事項の受け皿になってきてもいます。2001年改正と2007年改正の年齢制限の禁止規定とか、外国人雇用雇用状況報告とか、こういうのもやはり「基本法」と称するにはふさわしくないわけで、そうすると、上記のようなやたらめったら長いだけの法律名になるということなんでしょうか。

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