「無期雇用派遣」と働き方のこれから
アデコの「Power of Work」というサイトに、「「無期雇用派遣」と働き方のこれから」という記事が載っており、そこに私もちょっと登場しています。
http://www.adecco.co.jp/power-of-work/023.html
「労働契約に期間の定めのない派遣労働という意味での『無期雇用派遣』は、以前からありました。それ自体が新しい働き方というわけではありません。ただ、今回の改正労働者派遣法において重要なのは、『有期』と『無期』の区別を明確にすることで、これまで曖昧にされていた派遣労働者の保護を強化したことです」
こう語るのは、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の労働政策研究所長、濱口桂一郎氏だ。
はじめ、無期雇用派遣という新しい働き方が始まった、みたいな感じで聞いてきたので、いやいやそうではないよという話から始めています。
「派遣労働を含む雇用契約において、『無期雇用』と似て非なる考え方として『常時雇用(常用)』があります。同じ会社・職場に継続的に働いている点は同様ですが、常用の中には、有期契約なのに反復更新している結果として、事実上常用的に働いている人々が含まれます。彼らは、同じ職場に長く働いているにもかかわらず、契約期間の定めがあるため、ある日突然、契約更新を打ち切られるかもしれないという不安感があります。この状態は、労働者保護の観点からは望ましくありません。2015年の改正でこの点を改めて無期・有期という考え方を明確に取り入れ、労働者派遣法が派遣労働者の保護のための法律であることを明確に位置づけた。これこそが今回の改正の要諦だと考えられます」(濱口桂一郎氏)
別段新しい話はしていませんが、頭の整理にはなると思います。
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この改正派遣法に関わらず、企業現場における雇用人事慣行の見直し及び労働法改正を含めた雇用インフラの整備によって(かつ言語の壁をクリアすることによって)、日本企業が世界の人材マーケットに門戸を開き、より多様で優秀な人材を惹きつけ活用できるような場になっていくことを切に期待しています。
以下、勝手ながら当該記事の最終パートを引用しますので…。
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また今回の労働法の改正は、働き方の多様化推進の契機になる可能性があると、濱口氏は指摘する。
「派遣労働においては3年や5年といった期限が大きな問題となりますが、その一方で、新卒正社員の3年以内の離職率はじつに30%以上。つまり3年以上継続的に働いてくれる派遣労働者は、正社員よりも業務・職務を熟知している可能性が高いといえます。
このように働き方が多様化する中、企業側にも今後の対応策が求められます。社員それぞれの働き方に応じて、その社員が無限定正社員なのか、地域限定正社員もしくは有期雇用契約社員や派遣社員なのか、というようにきちんと定義、明文化する必要があります。その意味で、現在の法改正による流れは、これを明確にするための一つのきっかけになりえるといえます。
また今回の改正による影響から、労働者一人ひとりが自分にふさわしい職場や働き方を模索するといった考え方が定着し、企業を超えた人財の流動化や同一労働同一賃金にもつながっていくことも考えられます」
投稿: ある外資系人事マン | 2017年9月18日 (月) 17時24分