人生100年時代構想会議
昨日、官邸で「人生100年時代構想会議」の1回目が開かれたということですが、大げさな割に何をしようとしているのかいまいちわかりにくいタイトルなので、そこに提示された「「人生100年時代構想会議」の目的と主要テーマ」を覗いてみると、いくつか興味深いトピックが載せられているようです。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinsei100nen/dai1/siryou.html
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinsei100nen/dai1/siryou3.pdf
はじめに書かれたお題目はともかく、その次の「人生100年時代構想会議の具体的なテーマ」は次のようなものです。
①全ての人に開かれた教育機会の確保、負担軽減、無償化、そして、何歳になっても学び直しができるリカレント教育
②これらの課題に対応した高等教育改革※
※大学にしても、これまでの若い学生を対象にした一般教養の提供では、社会のニーズに応えられないのではないか。
③新卒一括採用だけでない企業の人材採用の多元化※、そして多様な形の高齢者雇用
※これが有能な人材確保のカギであり、企業にしてもこれまでの新卒一括採用だけではやっていけない。
④これまでの若年者・学生、成人・勤労者、退職した高齢者という3つのステージを前提に、高齢者向け給付が中心となっている社会保障制度を全世代型社会保障へ改革していく。
最近またぞろ、大学「教育」のあり方を論じているのを「学術研究」の噺に歪めて批判するたぐいの議論が一部で流行っているようですが、大学教師の生計には役立つアカデミックな教育よりも学生の職業人生に役立つ教育にしてこそ、その(国民負担による)無償化とか、生活保護受給者の進学問題といった言葉の真の意味でのソーシャルな(アメリカ方言で言うリベラルな)政策にもつながると思われるのですが、そういうソーシャルな教育思想は毛嫌いするリベサヨな方々がネット上には目立つようです。
それはともかく、③の「新卒一括採用だけでない企業の人材採用の多元化」は、日本企業のメンバーシップ型雇用の核心に関わる論点でもあるだけに、一体どういうことを考えているのか、気になるところですね。
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» 「人生100年会議」も打ち上げ花火ですぐ消える… [シジフォス]
誰の呪いか分からないが寝ると悪夢が出る(苦笑)。それだけ酷い情勢なのだが、昨日の<長寿社会へ「人生100年時代構想会議」初会合>は、さらなる「悪夢」としか思えない。政府が新たに掲げた看板(笑)政策「人づくり革命」の具体策を話し合う会議だそうだが、金子勝さんはTwitterで<「人生100年会議」とやらで保育・幼稚園、高等教育の無償化を打ち出す「人づくり革命」の嘘。4兆円を超える財源はどこに?まさか日銀引き受けで教育国債? 前の女性活躍の公約を忘れてますよ。待機児童ゼロどころか増加の一途です...... [続きを読む]
採用ばかりあれこれ言ってますが、どうやって退場願うんでしょうか。入り口があって出口がないと、膨れ上がるだけでしょうに。
あと教育って、別に学校に行かなくてもできますよね。学校に行った、卒業した、で?、ってところが気になるんですが、書かれてないほうに1フラン賭けようかな。
投稿: ちょ | 2017年9月12日 (火) 12時25分
本会合アジェンダのずばり著者、ロンドンビジネススクール教授リンダグラットン女史を囲む官学政労使タレントなど、錚々たる顔ぶれによる華やかな勉強会といったところでしょうか〜。
ここで構想されている未来派、英米型ライフスタイルとは必然、予定調和のない流動性の高いキャリアです。そこでは個人の自由度や満足度は高くなる反面、これまでメンバーシップ型日本企業が重視&享受してきた安定感なり一体感については(個人差が益々大きくなるゆえ)薄まっていくはずです。そこに多様性や多文化(外国にルーツをもつ日本在住の人たち)という要素も加わると、私たちが「これこそがニッポン人、日本企業、ニッポン人の働き方だよね」と、戦後(勝手に)ずっと思い込んできた何ものか(制度やシステムや価値観)が大きく変容を強いられるでしょう…。
私個人はもちろん、ニッポン社会全体がその方向に流れていくことに(一抹の不安を持ちつつも)原則、賛成&歓迎しています…。
投稿: ある外資系人事マン | 2017年9月12日 (火) 17時55分
世の中には、教育というもののコストをタダ同然と考える人々がいるようですが、タダ同然に感じるのは学校教育に税金が投入されていて、初等教育、中等教育を政府が現物給付しているから、でしょうね。学校教育であるからこそ、タダ当然で提供されている、というわけです。
本来教育というのはとても高価なもの、という感覚は失われてしまっているのでしょうね。かっては相当裕福な家庭の子弟でなければ教育を受けることができなかったわけですけど。
なお、企業向けの教育・研修サービスというのは、とても高額なものでして、1日分の料金が大学の1年分の学費ぐらいになったりしますね。営利目的で教育サービスを提供すると、それぐらいにはなるということでしょう。まあ、企業相手だと遠慮なくぼったくれる、というのもあるのでしょうけど。
投稿: IG | 2017年9月12日 (火) 22時49分