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2017年8月 8日 (火)

日本型システムの源基性@WEB労政時報

WEB労政時報に「日本型システムの源基性」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=679

私は累次の拙著において、日本型雇用システムが諸外国の雇用システムと原理的に異なっており、その根源が「人」と「仕事」の結び付け方にあると論じてきました。諸外国においては、まず「仕事」を厳格に決めておいて、それにもっともうまく合致する「人」を選定するというやり方(ジョブ型)であり、日本においては、まず「人」を決めておいて、「仕事」はできる限り緩やかにそれを担当する「人」に合わせて決めていくというやり方(メンバーシップ型)です。ここから、終身雇用制、年功賃金制、企業内教育訓練、企業別組合等々といった日本型雇用を特徴づけるさまざまな社会制度が生み出されてくるわけですが、今回はもちろん、それを正面から論じようというわけではありません。詳しくは、『若者と労働』(中公新書ラクレ)をはじめとした拙著をお読みいただくほうが手っ取り早いですから。

最近、同じような問題意識を持って異なる分野で書かれた論文を目にしました。中央大学経済学部の中川洋一郎教授の論文です。・・・・・

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コメント

久しぶりにロマンあふれる壮大なジョブVSメンバーシップ論、いつもながら勝手にWeb労政時報記事を以下に要約しますと…。

欧米企業は、ヒト・サプライヤーが入れ替わっていも恒常的に機能する仕組みを作って対応する。具体的には企業活動のあらゆる側面において「システム化」に取り組み、マネジメント、人事労務管理、調達、購買物流、製造、出荷物流、販売マーケティング、サービスなどにおいて、ヒトが入れ替わっても事業継続に支障が生じないような「仕組み」の構築をめざしている。欧米企業のシステムの特徴として、グローバルな人事システム、世界統一基準の施行、そして契約の重視があげられる。

「このように〈システム〉とは、新しい状況、なかんずく新しい仕事への対応を「人の入れ替え」によって行うことであると定義すると、この〈システム〉が円滑に機能するためには何よりもまず予め仕事の内容(職務)が厳密に決定されていなければいけない。そうでないと、誰が最適な人材かを決定できないからである。さらにこの仕組みでは最適な人材は往々にして外部から調達することになる。社内に最適な人材がいればよいが、最適人材が必ずしも社内にいるとは限らない。むしろいないことの方が普通であろう。なぜなら現有の人材は別の職務にふさわしいと認められて採用されたからである。(編注:この一文は前後と矛盾しますよね…) 従って、あらかじめ決められた職務にもっとも適する人材を発見するためには、できるだけ募集の範囲を広げて社外に人材を求めた方が最適の人材を採用できる可能性が高まることになる。」

これに対し、タイに進出した日系企業は全く対照的なやり方を採った。現場における職能形成をめざし、OJT訓練計画に従って訓練し…、人事考課を行い、監督者には作業者に規律を守らせることに加えて部下を成長させる、すなわち「育てる」ことが求められている。新しい状況に直面した時に日系メーカーはヒトとサプライヤーを育てることで対応しようとした。

「そもそも欧米型のヒト・サプライヤーを入れ替えるシステムと、日本型のヒト・サプライヤーを育てる仕組みとの違いは何に起因するのか。疑似親族原理の「人←仕事」は人類史の99%以上の期間で唯一の組織統合原理であった。その限りで伝統的かつ歴史的に人間の組織編成原理として「源基的」である。一方、機能本位原理の「仕事←人」は前5千年頃に発生した遊牧に起源をもっているのでその出現は人類史において派性的な組織原理である。つまり組織編成において、予め仕事を確定してからヒトを配置するか(欧米型)、あるいはヒトを確定してから仕事を割り振るか(日本型)という正反対の組織編成原理を想定すると、歴史的にヒトを確定してから仕事を振り分けるという日本型はむしろ源基的であり、欧米型のヒトを入れ替えるシステムの誕生は比較的新しいことがわかる。」

…雇用システムにおけるジョブ型とメンバーシップ型に人類史的な組織原理の対立軸があったとすれば、それが今日の日本において様々な議論の源基となっていることも故ないことではないと言えよう。ーーーー (以上、要約及び引用終わり)

たとえば、ここでいう「ジョブ型は前5千年の遊牧に起源がある」とは、具体的には一体何を(どんな事件を)さしているのでしょうか。

せっかくの現地ビジネス経験に基づく新鮮な発見とその比較考察であっても、何だか「遊牧」とか「前5千年」などと聞かされると(「アニミズム vs一神教」のような)突拍子もない議論に聞こえかねず、かえってもったいない感じがするのです。

投稿: 海上周也 | 2017年8月 8日 (火) 21時21分

上記コメントに一点訂正します。第三パラグラフ( )内の「編注」は無視ください。小生の勘違いです。引用内容、全て問題ありません。

投稿: 海上周也 | 2017年8月 9日 (水) 08時34分

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