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2017年8月 7日 (月)

労働時間把握義務の明記は2年前から提起されている

まあ、新聞記者が今さらのように記事にすること自体は別に良いんですが、

http://www.yomiuri.co.jp/national/20170806-OYT1T50030.html(労働時間把握は「義務」明記、安衛法規則改正へ)

過労死を防ぐため、厚生労働省は、労働安全衛生法(安衛法)施行規則を改正し、従業員の労働時間を適切に把握することを企業などの義務として明記する方針を固めた。
 政府は、時間外労働の上限規制を含む「働き方改革関連法案」を秋の臨時国会に提出する予定。関連法施行までに安衛法施行規則を改正する。
 安衛法は働く人の健康を守るための法律。時間外労働が月100時間を超えた人が申し出た場合、医師の面接指導を事業者に義務づけるなど、労働時間の把握を前提とした仕組みを定めている。ただ、取り組みが不十分な企業もあるという。
 そこで、安衛法施行規則に、労働時間の把握について「客観的で適切な方法で行わなければならない」などの文言を盛り込む。パソコンの使用時間やIC(集積回路)カードによる出退勤時間の記録を想定する。管理監督者を含めた全ての労働者を対象にする。・・・

いやそれは、つい先日の6月5日の労政審建議で、ちゃんとこう書かれていたことであるし、

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000170996.pdf

(2) 労働時間の客観的な把握
・ また、上記の面接指導(1(2)③の面接指導を含む。)の適切な実施を図るため平成27 年2月13 日の当分科会報告にあるように、管理監督者を含む、すべての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を省令に規定することが適当である。その際、客観的な方法その他適切な方法の具体的内容については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を参考に、通達において明確化することが適当である。

もっといえば、ここにもあるとおり、それは高度プロフェッショナルばかりが注目された2015年改正案に向けた同年2月の労政審建議で既に提起されていたことでもあるのです。

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/houkoku.pdf

(3) 労働時間の客観的な把握
・ 過重労働による脳・心臓疾患等の発症を防止するため労働安全衛生法に規定されている医師による面接指導制度に関し、管理監督者を含む、すべての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を省令に規定することが適当である。

ものごとをちゃんと追いかけている人にとっては何ら目新しい話ではなくても、いかにも目新しげに新聞が報じると、皆様そういう風に反応するんだなあ、と。別にいいですけど。

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コメント

別に新聞記者みなさんの肩を持ついわれは全くありませんが...

昨今の雇用関連記事の安易な書きぶり(初歩的なミスや勘違い)の理由を想像するに、ここ日本においてはそもそも労働法及び雇用システムが複雑すぎて一般に理解するのが極めて困難なのが原因なのかと。

さらにその背景には、Hamachan先生が縷々説かれているとおり、(GHQが戦後策定した)日本の労働法そのものは「ジョブ型」を念頭においた世界標準ルールであったにも関わらず、高度経済成長及び石油危機を乗り越えて人口ボーナス期に高度に完成された我らが日本型雇用システムが「能力」という一見万能な鎧を身にまとい、最高裁の判決も(本来は法の精神である基本的人権などの)労働法の理念をかなぐり捨てて、戦後の経済最優先の既定政治路線を邪魔せぬよう独自の判例法理いわば「メンバーシップ型正社員法理」を形成することに大きく貢献してきた中で、ある時期いっとき成功体験を共有できた我々国民一般の目が(人口動態や時代精神がすでに変わってしまっているにも関わらず)未だ曇らされてしまっている故に、こうしたわが国のダブルスタンダードな現状をよく理解できていないからなのでしょう。

一部のマスコミや新聞記者の不勉強のせいにするのは簡易ですが、こと労働法や雇用社会システムの混み入ったテーマについては「こちら側」の関係者にもその責任の一端があるように思えるのです。

投稿: 海上周也 | 2017年8月 7日 (月) 22時24分

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