竹信三恵子『これを知らずに働けますか?』
竹信三恵子さんより『これを知らずに働けますか?─学生と考える、労働問題ソボクな疑問30』(ちくまプリマー新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480689856/
「バイトは休暇が取れない?」「どこまで働くと過労死する?」そんな学生の率直な疑問に答えます。仕事選び、賃金、労働組合、ワークライフバランス、解雇など、働く人を守る基礎知識を大解説。これを知らずに社会に出て行ったら、あぶない!
何にも判っていない学生たちに噛んで含めるように説明していく労働法の初歩の初歩、というところです。
なんでこんな本を書こうとしたのかを、「はじめに」で竹信さんがこう語っていますが、
・・・ところが、いざ大学で授業を担当してみると、社会に出た経験のない多くの学生たちにとっては、労働問題はどこか他人事のようです。特に困ったのは、私たちの世代には常識と思われてきた働くルールの『基本のき』さえ聞いたことがない学生が少なくないことでした。たとえば、賃金は労使交渉で決まると話すと、「先生、それは変です、賃金は会社が決めるものじゃないんですか」と聞かれます。過労死をなくすには極端な長時間労働を是正しなければならない、というと、「先生、会社は慈善事業ではありません、日本の会社は長時間労働でもっているのでは?」とたしなめられました。・・・・
なかなか頭を抱えたくなるような会話ですが、まあでも今日の風潮では、普通に育った素直な若者ほどこうなるのでしょうね。
会社は慈善事業じゃないですが、労働者も慈善事業じゃないはずですが、なぜかそこだけはメンバーシップ感覚が色濃く世代で受け継がれているようではあります。
・・・勤め先の大学だけではありません。ある有名大学の教員から、「先生、労組って悪い人たちなんですよね、と学生が聞くんですよ」と嘆かれたことがあります。労働組合は働く人が団結して職場の問題点を解決する組織だと、普通に語られていた時代とは、どうやら様変わりしてしまったらしいのです。・・・
ははぁ、労組は悪の結社ですか。
というわけで、今どきの普通の若者が素直にどういう質問をぶつけてくるのかという怖い物見たさで読むと良いかもしれません。
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