« 牧久『昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実』 | トップページ | ただで良いサービスをしてれば生産性は低くなる »

2017年7月12日 (水)

労働法と競争法の重なる領域

WEB労政時報に「労働法と競争法の重なる領域」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=671

 労働法と競争法(独占禁止法等)はいずれも民商法の特別法ですが、少なくとも日本ではこれまであまり相互のつながりはありませんでした。「少なくとも日本では」というのは、労働法の教科書にあるように、労使関係法とりわけアメリカの労使関係法制は、反トラスト法(シャーマン法)という競争法による弾圧からの解放の歴史でもあるからです。労働者の団結や団体交渉といったことが取引を制限する共謀として刑事上、民事上の違法行為とされていた時代は、アメリカでは1932年のノリス・ラガーディア法の制定まで続きました。その後、1935年のワグナー法によってむしろ労働者の団結や団体交渉が保護されるようになりますが、これは雇用される労働者のみの権利であって、自営業者が同じことをやれば元に戻って競争法違反となります。この法的状況はヨーロッパや日本でも同じです。
 その中で、近年世界共通に個人請負型就業者の拡大が見られ、・・・・・

|
|

« 牧久『昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実』 | トップページ | ただで良いサービスをしてれば生産性は低くなる »

コメント

労働法と競争法の重なる領域…。ほんの序論かと思いますが、これも現代的で大変興味深いテーマですね。

曰く「労働者であれば団結が保護されるのに労働者でなければ(事業者であれば)談合として禁止される―という”all or nothing”の境界線が現実のさまざまな働き方との間で矛盾を生じている」「いわゆる経済のデジタル化の中で、クラウドワークなどプラットホーム経済とかシェアリング経済と呼ばれる新たな就業形態が急速に拡大しており、この問題がホットになりつつある」…。

とりわけ最後のパラグラフにある「おそらく誰も意識していないかと思われる、ある交錯領域…職安法45条に基づく労働組合による労働者供給事業。…この場合、労組は自ら労働者供給事業という事業(ビジネス)を営む事業者。…その一方で、労働者供給事業を営む労組はまごうことなき労働組合…ビジネスモデルとしては労働者派遣事業とほとんど同じだが、(派遣事業者と異なり)派遣料金について業者間協定を締結したりしたら当然独占禁止法違反になるのに対し、労働組合は(産別業種別賃金や労組間で仮に協定しても)そうはならない」という考察は大変興味深いですね。というのも、労働組合=労働者供給事業と、派遣会社=労働者派遣事業の本質的な「違い」は(本当のところ)一体何なのだろうか?という問いに向き合うことになりますから。

そしてふと思うのですが、労働者の保護を基本とする労基法や労組法は、労働者=個人=「弱者」という前提に立つ。すると、事業者=会社=「強者」という前提の上に成り立つ競争法・独占禁止法の方よりむしろ「下請法」の領域に近いのかなぁと…。

投稿: 海上周也 | 2017年7月13日 (木) 17時41分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/3288/71119760

この記事へのトラックバック一覧です: 労働法と競争法の重なる領域 :

« 牧久『昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実』 | トップページ | ただで良いサービスをしてれば生産性は低くなる »