『講座労働法の再生』第4巻・第5巻
既に第1巻から第3巻、そして拙論も含む第6巻が刊行済みの『講座労働法の再生』ですが、残る第4巻と第5巻の案内が、ようやく日本評論社のHPにアップされたようです。
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7461.html (講座労働法の再生 第4巻 人格・平等・家族責任)
総論 人格権、雇用平等、家族責任に関する法理の新たな展開…………和田 肇
第1部 人格権の保護
第1章 プライバシーと個人情報の保護…………長谷川聡
第2章 ハラスメントと人格権…………根本 到
第3章 労働者によるコンプライアンスの実現…………山川和義
第4章 キャリア権の意義…………両角道代
第2部 雇用平等
第5章 雇用平等法の形成と展開…………柳澤 武
第6章 保護と平等の相克…………神尾真知子
第7章 非正規雇用の処遇格差規制…………櫻庭涼子
第8章 差別の救済…………斎藤 周
第9章 雇用平等法の課題…………相澤美智子
第3部 ワーク・ライフ・バランス
第10章 ワーク・ライフ・バランスと労働法…………名古道功
第11章 年休の制度と法理…………武井 寛
第12章 育児介護休業法の課題…………柴田洋二郎
第13章 労働法上の権利行使と不利益取扱の禁止…………細谷越史
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7462.html (講座労働法の再生 第5巻 労使関係法の理論課題)
第1部 労働組合と団体交渉
第1章 集団的労使関係の当事者…………岩永昌晃
第2章 労働組合の法理…………富永晃一
第3章 団体交渉権の構造…………三井正信
第2部 労働協約
第4章 労働協約の法的構造…………水島郁子
第5章 労働協約の規範的効力…………桑村裕美子
第6章 労働協約の一般的拘束力…………小嶌典明
第3部 団体行動
第7章 団体行動権の意義と構造…………中窪裕也
第8章 争議行為の意義と正当性…………石井保雄
第9章 争議行為の法的効果…………國武英生
第10章 組合活動の法理…………渡邊絹子
第4部 不当労働行為
第11章 不当労働行為制度の趣旨・目的…………中窪裕也
第12章 不利益取扱いの禁止…………野田 進
第13章 団交拒否…………戸谷義明
第14章 支配介入…………山本陽大
第15章 労働委員会の救済命令…………森戸英幸
全巻刊行される頃になっていうのもなんですが、「非正規雇用の処遇格差規制」が第4巻第2章の「雇用平等」の中に入れられているのは、性差別を中心とした人権法的な差別禁止法制と、賃金制度論との関係でこそ論じられるべき雇用形態による処遇格差の問題がごっちゃになっている感が強く、いかがなものだろうかという感想を持ちます。読む前に言うのもなんですが。
あと、キャリア権は「人格権」なんだろうかとか、「労働法上の権利行使と不利益取扱の禁止」という労働法の実効性という意味でまさに労働法の総論で論じられるべき話がワークライフバランスなんだろうか、とか、いろいろと疑問が湧いてきます。
まあ、それもこの第4巻の「人格・平等・家族責任」というテーマが、まだ定番化されきらない不定形の面が多いからなのでしょうけど。
それに引き替え、第5巻の労使関係法は、この目次を見る限り、半世紀前から何も変わっていない感がにじみ出てきます。
講座という性格からするとしかたがないのでしょうが、今喫緊の課題となりつつある従業員代表制のような問題は第1巻に委ねられているのですね。
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