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下井康史『公務員制度の法理論』

280601 下井康史さんの『公務員制度の法理論 日仏比較公務員法研究』(弘文堂)をこの週末に読みました。

http://www.koubundou.co.jp/book/b280601.html

日本とフランスの公務員法を、「公務員の勤務条件決定システム」「身分保障」「多様な公務員と公務員制度の射程」という3つの視点から詳細に比較・分析した本格的研究書。日仏比較がもたらす大きな示唆を明らかにし、公務員制度改革の今後のあり方を探る。行政法と労働法を架橋する、本邦初の公務員法研究の集大成。

公務員法は行政法と労働法の交錯する領域です。かつては、公務員の労働基本権問題が労働法学においてもかなり大きなテーマであり、多くの人が喧々囂々論じたこともありますが、いまではすっかり寂れてしまいました。代わって最近じわじわと話題になりつつあるのが非正規公務員問題ですが、なおまだまだメジャーとは言えない状況のようです。

公務員法は制度の一つ一つが別立てになっているため、労働畑の人が真面目に勉強しようとすると結構手間がかかることもあり、どうしてもごく一部の人だけが取り組む傾向にありますが、下井さんは行政法から労働法に攻め込んで、非常に緻密な議論を展開しているので、とてもありがたい存在です。

序 公務員制度改革と公務員法

第1編 公務員の勤労条件決定システム

第1章 フランス法 

 第1節 地方公務員制度における給与決定システム 

 第2節 法令規律の仕組みと組合参加制度

第2章 日本法

 第1節 公務員の団体交渉権・協約締結権

 第2節 地方公務員制度における新たな労使関係の構築に向けて

 第3節 公務員法における法律・条例事項と協約事項

 第4節 公務員

第2編 身分保障

第1章 フランス法-官職分離原則の身分保障機能

第2章 日本法

 第1節 公務員法と労働法の距離

 第2節 公務員の守秘義務

 第3節 行政法における公務員倫理法の位置付け

 第4節 人事評価システムにおける制度的工夫

第3編 多様な公務員と公務員制度の射程

第1章 フランス法

 第1節 公務員制度の射程

 第2節 任用・勤務形態の多様化

第2章 日本法

 第1節 公務員の勤務形態多様化政策と公法理論

 第2節 任期付任用公務員の更新拒否をめぐる行政法上の理論的問題点

結――日仏比較公務員研究の意義

第1編の勤務条件決定システムは集団的労使関係システムの問題として一通りは勉強しましたし、第3編の勤務形態の多様化は非正規公務員の問題としていくつか文章を書いたりしていますが、本書の中でいままであまりよく知らずにいて、そうだったのか!!感が強かったのは第2編の身分保障に関わる部分でした。とりわけフランス公務員法制の任官補職のシステムが戦前日本と共通しているというのは目を開かれました。

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