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2017年6月 8日 (木)

『POSSE』35号

Hyoshi35_2『POSSE』35号をおおくりいただきました。いつもありがとうございます。

http://www.npoposse.jp/magazine/no35.html

特集は「働き方改革」で、こういう充実した記事が載っているのですが、

特集「働き方改革」

15分でわかる「働き方改革」 本誌編集部

下からの「働き方改革」を始めよう 圷由美子(弁護士)×風間直樹(『週刊東洋経済』記者)×今野晴貴(NPO法人POSSE代表)

長時間労働は本当に「改革」されるのか 本誌編集部

駅売店と女性の働き方 須田光照(全国一般東京東部労働組合書記長)

悪質な企業の取り締まりを困難にする監督業務の民間委託 森﨑巌(全労働省労働組合中央執行委員長)

「ブラック産業医」問題とは何か? 本誌編集部

ルポ ヤマト運輸は「働き方改革」の夢を見るか? 本誌編集部

日本社会の危機と政府諸改革の無策 木下武男(労働社会学者(元昭和女子大学教授))

でもここはやはり、恐らくほとんど注目されないであろう、「本誌編集部」という尻隠さずの匿名で書かれたこれに注目しておきます。

労基法は子役を守ってくれない? 本誌編集部

いや、編集後記で編集長の坂倉さんが書いたとちゃんと明かされているんですがね。

リードで、週刊文春の「WOWOWドラマ天才子役号泣現場」の記事から説き起こして、労働基準法56条2項の「映画の製作または演劇の事業」とは何か?という大問題に切り込んでいます。

で、実はこれ、本ブログのある記事に呼応しているんです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/2877-864d.html(元アイドルほか(グループB)事件(東京地判平成28年7月7日))

このエントリは、東大の労働判例研究会でわたしが評釈した事件に渡辺章先生がコメントしたことを述べたものですが、それがまさにこの労基法56条2項問題。

まあ、この事件自体、小学5年生の女の子にアイドルとして集団による歌唱・ダンスを中心としたライブ活動のほか、○○券を購入したファンとの交流活動(お散歩、コスプレ、プリクラ、ビンタ等)をやらせるといういささかいかがわしげな商売なんですが、それはともかく、労判の席上で渡辺章先生から思いがけない指摘を受けました。

それは、労働基準法56条が満13歳未満の児童の労働を認めているのは「映画の製作又は演劇の事業」だけであって、その他の「興行の事業」は含まれないのではないかということです。

・・・ふむ、小学校5年生の女の子がアイドルグループとして歌ったり踊ったりすること自体が13歳未満の児童に認められる「映画の製作又は演劇の事業」には当てはまらず、労働基準法の事業分類ではそれと同類ではあるけれども、13歳未満の児童の労働が許されないその他の「興行の事業」なんじゃないか、という指摘です。

確かに条文の規定ぶりからするとそういう解釈にもなりそうですが、そうすると、いまの芸能界は大変なことになっちゃうんじゃないかと思いますが。そもそも労働基準法ができた頃はテレビもなかったわけで、ある程度は「映画演劇」の拡大解釈でやらないと、とても持たないのでしょう。

このエントリの最後に、わたしは

ということで、あとはPOSSEのアイドル部長坂倉さんにバトンを渡した方がいいようです。

と書いたところ、見事にバトンを受け取っていただいたというわけです。

ちなみに、この評釈した事件も、お散歩、コスプレ、プリクラ、ビンタ等と相当程度にいかがわしかったわけですが、世の中には上には上があるようで、アイドルが添い寝するというとんでもない(とんだ?)アイドルグループもあるようです。ここまでいくと労基法56条じゃなくって、職安法63条の「公衆道徳上有害な業務」になりそうですが。

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