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2017年5月 2日 (火)

島貫智行『派遣労働という働き方』

L16497島貫智行さんから『派遣労働という働き方--市場と組織の間隙』(有斐閣)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641164970

制度改正等にも促される形で増加傾向にある派遣労働者は,分離した指揮命令関係と雇用関係のもと,いかなる困難に直面し,それをどう乗り越えようとしているか。質的調査で当事者視点に迫りつつ,「仕事の質」概念によって,その多様な側面を総合的に検討する。

派遣労働者の丹念な研究という意味では、JILPTの小野晶子さんと共通しますが、本書の特徴は「仕事の質」をキー概念にして、派遣労働者の仕事の質が劣るのは、労働契約(有期契約か無期契約か)のせいなのか、雇用関係(二者関係か三者間関係か)のせいなのかを分析しているところでしょう。

第1部 派遣労働の捉え方
 第1章 問題設定──派遣労働とは何か
 第2章 先行研究の検討──どのように議論されてきたか
 第3章 分析の視点・枠組み・方法──どのように捉えるか
第2部 派遣労働者が経験する困難
 第4章 賃金と付加給付
 第5章 雇用の安定性と能力開発機会
 第6章 仕事の自律性と労働時間
第3部 派遣労働者が困難に対処する方策
 第7章 派遣労働の受容──派遣労働者のジレンマ
 第8章 派遣労働の回避──正規労働者への転換とフリーランスとしての独立
 第9章 派遣労働の克服──雇用関係とネットワーク
第4部  派遣労働者が従事する仕事の質
 第10章 就業形態による比較──正規労働よりも劣るか
 第11章 労働契約と雇用関係による比較――なぜ劣るか
 終 章 派遣労働とはどのような働き方か

もちろん第2部、第3部で丁寧なヒアリング結果から派遣労働者の肉声でその直面する諸問題を語らせているところも、実に読み応えがあります。面白いです。

さて、本書の副題は「市場と組織の間隙」となっていて、ちょっと意味が分かりにくいですね。その種明かしは終章の理論的解釈のところでされます。ここだけでも立ち読みする値打ちはあります。ただ、派遣という働き方が自営と雇用の中間であり、外部労働市場と内部労働市場の中間であるというのは分かるのですが、そして市場と組織の中間だというのも分かるのですが、それがネットワークだというのは若干違和感がありました。

ネットワークという言葉はある程度日常用語でありながらいろんな学問分野でそれぞれのニュアンスを持って学術用語としても用いられるので、派遣元と派遣先と派遣労働者の三者のネットワークという意味だと書かれても、同じような違和感を感じる人は多いのではないでしょうか。

いやその先では、派遣労働者の人的ネットワークが職業コミュニティとして活用されているという話にもなっていくのですが、いやそれは派遣労働者だけの話ではないのでは、と。

それにしても、終章の「3 派遣労働のこれから」で書かれているこれからの派遣労働のあるべき姿の見取り図は、とりわけ派遣業界の人々はじっくりと読んでどう活かしていくかを考えるよすがになるはずです。

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