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2017年5月22日 (月)

海老原嗣生著・飯田泰之解説『経済ってこうなってるんだ教室』

002231こないだ、数人で呑んだ時に海老原さんが言ってた本がこれですね。海老原嗣生著・飯田泰之解説『経済ってこうなってるんだ教室』(プレジデント社)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=2898

日経新聞は読んでいるけど
わからないという人、もう大丈夫です!
小学生の算数と国語の力があればわかる
経済・金融の超入門書!

「おわりに」によると、これはリクルートの営業スタッフ向けの勉強会で長年喋ってきた内容をまとめたものとのことで、確かに本当にわかりやすくできています。はじめの為替のあたりはなんだか公文式の計算をやらされている感すらありますが、第3章のGDPとは何かってあたりは、よくわかってない人が多そうなので、結構役に立ちそうです。

さて、本書は第4部の第8章までは海老原さんの著述ですが、最後の第5部は「それでも分からないことはプロに聞く」と題して、飯田泰之さんによるちょっと進んだ解説編になっています。ここはそれこそリフレ派(「りふれは」に非ず)の代表としての飯田さんの見解が前面に出ていて、むしろエコノミストの中でいろいろと議論のあるところではないかと思います。

私はそのうち、労働経済学で論点になり得る「金融政策で雇用も改善するといいます。それはなぜですか?」という問いに対する飯田さんの答えが興味深かったです。

金融政策で雇用が改善すると言っても、記入政策で景気が回復して雇用が拡大するという話ではありません。それは当然の前提として、それではなく「インフレ率や期待インフレ率が上がること自体が雇用を改善する」という議論のことです。物価が高くなると名目賃金が下がらなくても実質賃金が下がるから、企業家が安く人を雇えるようになるので雇用が拡大するという議論ですね。同じイニシアルがIの人がよくいうロジックですが、飯田さんはこれに否定的です。

・・・わたし自身は、この物価と雇用の関係は、疑似相関ではないかと考えています。インフレになってPが上がると為替や資産価格の影響などから企業のバランスシートが改善し、需要が増加する。これによって経済全体が上向くので失業率が下がる。その始点と終点だけを見ると、確かに物価が上がると雇用が改善するように見えるわけですね。

 賃金の金額は下がりにくい(名目賃金の下方硬直性)ので、デフレが実質賃金の上昇を通じて雇用を悪化させることは多いでしょう。しかし、インフレ時にその議論が成り立っているかは疑問が残ります。

ただ、なぜか「物価が上がる(=インフレ)ことによる実質賃金低下が雇用を拡大する」という説が教科書では主流になっています。

これはもうど素人や初心者には何が問題になっているのかよくわからないハイレベルな話でしょうね。

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コメント

そもそも、ここ20年の日本を見る限りでは「賃金の下方硬直性」っていうのは神話かなんかじゃないかと思うわけで。

むしろ「低賃金カルテル」論議に見られるように、一部業界(介護、運輸、流通(小売・飲食含む))だと「上方硬直性」があるんじゃないかと。

賃金の上方硬直性は、派遣労働で顕著ですね。労務費が購買に移ったので、相見積り、前年度より低い額の提示要求が当たり前のように起きています。

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