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2017年5月11日 (木)

ヨーロッパ社会モデルは崩壊したか@『DIO』326号

Dio 連合総研の機関誌『DIO』の326号が届きました。特集は「ヨーロッパ社会モデルは崩壊したか」です。おやおや、私のペットテーマではないですか。

http://www.rengo-soken.or.jp/dio/pdf/dio326.pdf

ヨーロッパ社会モデルは崩壊したか ヨーロッパ社会モモデルと民主主義の行方 新川 敏光

欧州債務危機以降の福祉国家と財政金融政策−ユーロ・システムの限界から学ぶべきもの− 岡本 英男

「ヨーロッパ社会モデル」とEU集団的労働法 井川 志郎

政治学、経済学、そして労働法の3つの方面から、かつて輝いていた、そしていまや水に落ちた犬のごとくいわれているヨーロッパ社会モデルを論じています。

このうち、井川志郎さんは、実は旧姓山本、そう、EUの国際労働法を研究している若手として注目されている山本志郎さんのことです。彼の論文は、私も何回か書いてきたテーマ、ラヴァル・カルテットをめぐる相克です。

が、ここでは岡本さんの論文の最後の節に注目しておきたいと思います。

4.むすびに代えて−ヨーロッパ労働運動の悲劇−

そう、岡本さんは例のシュトルムタールの名著を引用して、こう述べているのです。

 このような大胆な経済政策こそが、デフレ下で高失業に悩むヨーロッパ諸国が必要とするものであり、それはヨーロッパ社会民主主義の復活にとっても必要不可欠である。さらには、真の完全雇用を目指す大胆な経済政策こそ、長らく低迷に苦しむ、わが国の労働運動と社会民主主義の復活にとってカギとなると筆者は考えている14)。

(参考)

Sturmthal_2 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/dio-8ff3.html (シュトゥルムタール『ヨーロッパ労働運動の悲劇』からの教訓@『DIO』289号)

連合総研の機関誌『DIO』289号が「古典から現代の労働問題を読み解く」という特集をしていまして、

私は、本ブログで何回か嫁嫁言ってきたシュトゥルムタールを取り上げています。

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コメント

ほんとうにヨーロッパはどうなってしまうのでしょうか。マクロンにドロール風な社会的ヨーロッパの再生を期待する向きもあるようですが、わたしはジスカールデスタンとも比較されるマクロンというのは食わせ物で、ベルルスコーニやサルコジ流のポピュリズムを尺度にすれば、マクロンこそポピュリズムの申し子で金融資本の寵児ではないかともみています。社会的ヨーロッパへの発展的回帰というならば、トッドが肩入れしていたメランションに期待すべきでしょうし、今回は社会党のアモンを支持したピケティもポデモスやシリザのような急進左派が社会的ヨーロッパのカギを握っているとみているようです。これにコービン労働党も加えてもいいでしょう。いずれにしても青年労働者も古参活動家も含めた労働組合の支持が前提になるでしょう。
 労働組合でいえば2011年にグローバルユニオンから提案された(スティグリッツが諸言を書いている)「危機からの脱出:より公正で持続可能な経済モデル」が重要な意味を持つでしょう。連合がジョン・エバンスらを招いて開催したシンポジウムにはhamachanもコメンテーターとして参加しておられましたね。この提案でエバンスとカルバーはアマルティア・センの”政治の目標とは市民に対して、自分が価値があると思う理由のある生活を選択するために必要な能力(ケイパビリティ)を付与することでなければならない”との主張を積極的に取り入れていますし、バクビスは緊縮政策を批判して端的に”政治家はジョン・メイナード・ケインズが『一般理論』(Keynes 1936)で提起した中心的な理論を採用すべきだ”と述べています。

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