小畑明『労働者代表制』
小畑明さんの『労働者代表制の仕組みとねらい 職場を変える切り札はこれだ』(エイデル研究所)をお送りいただきました。ありがとうございます。
奥付けによると5月25日発行とだいぶ先の日付になっています。
著者の小畑明さんは運輸労連の中央書記長です。小畑さんはヤマト運輸労組の出身ですが、本書の冒頭に出てくるのは、組合のない多くの運輸業における労働者のひどい状況です。そこからまずは労働組合の意義を歴史をさかのぼっていろいろと説きます。
それを踏まえた上で、しかし組織率が17%弱、中小企業では1%未満という状況の中で、労働者代表制がいかに必要なのかを、丁寧に説明していくのが、第1部の「労働者代表制の機能と役割」です。
ここでは、JILPTの内藤さんの論文、私の論文、呉学殊さんの本なども引用され、そしてJILPTが2013年に公表した集団的労使関係研究会の報告も詳しく説明されています。
第2部は座談会ですが、これが40ページを充ててかなり詳しく細かい論点まで議論を展開しています。小畑さんが選んだ座談会の相手は、上記JILPTの集団的労使関係研究会の座長でもあった荒木尚志さんと、中小企業家同友会の平田美穂さんです。
第3部の資料編には、連合の労働者代表法案や関連文書、上記JILPT研究会報告の結論部分なども収録されています。
本書の中でも論じられているように、労働者代表制をめぐっては実にいろいろと考えなければならないことがありますが、連合の主要単産の幹部がここまで明確に労働者代表制の必要性を明確に訴える本を出したということは大きな意味があると思います。
ちなみに、本書でも引用されていますが、同じエイデル研究所から一昨年出された『これからの集団的労使関係を問う』には、小畑さんを含む労働組合の方々と、私も含む研究者たちのコラボによる企画で、是非併せて読んでいただきたいものです。
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