豊田義博『なぜ若手社員は「指示待ち」を選ぶのか?』
豊田義博さんの『なぜ若手社員は「指示待ち」を選ぶのか? 職場での成長を放棄する若者たち』(PHPビジネス新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-83202-9
意識は高いが、目標は無難。まじめだけど、気が利かない。
一見矛盾する若手の深層心理を知って自分から動く部下を育てる。
まじめで優秀、自己実現志向で、意識と意欲も高い一方、報告・相談ができず、指示待ちでリスク回避志向な現代の若手社員たち。そんな彼らは、実は最初から職場での成長を“放棄”している!?――
本書では、一見矛盾した若者の実態と彼らが生まれた背景を、30年以上にわたって日本の若者を見つめ続けてきた著者が丁寧に解説。
「最近の若手社員が何を考えているのかわからない……」と若手育成に悩む管理職・マネジャーたちに向けて、職場で「生き生きと働けていない」新人・若手を、「自分から動ける人材」にするための処方箋を提示する1冊。
一見、近頃の若者を叱りつけている本に見えますが、基本スタンスは、その原因は彼らの側ではなく会社の側にある、というものです。
第1章 前向き、なのに頑張らない――若手社員の矛盾に満ちた実態
第2章 「新能力」「新学力」がもたらした大転換
第3章 「えもいわれぬ違和感」の正体
第4章 マネジャーへの処方箋――環境適応性を引き出す「問いかけ」の力
第5章 若手社員への処方箋――「天職探し」を捨てよ、外に出よう
そして、第2章、第3章あたりで分析していることは相当程度うなずけるものでもあります。
ところが、本書はレーベルの性格上からなのかわかりませんが、やや目先レベルの処方箋を並べることに性急になっている感があります。
何も具体的なスキルを持たない若者が試行錯誤して成果を上げられずに失敗を繰り返してもそれを見守ることのできる余裕とか、そういう若者をOJTと称して教育訓練することに相当のエネルギーを割けるような余裕を与えられていた中高年といった、いまではかなり希薄化したシステム的リソースが欠如したまま、「自分から動ける人材」に育てようというのはなかなか無理難題ではないかと思うのですが。
これは社会学的思考と心理学的思考の対立みたいなものかも知れませんが、リクルート系の方に時々感じられるある種の心理学主義的な何かには、正直どうなのかな、というところもないわけではありません。
まあ、この辺は、人によっていろいろな意見があるとは思いますが。
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コメント
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冒険、暴走してしまったあまり裏目に出ることを恐れている。そうまでして積極的にはやらない。皆の前で赤っ恥をかく事は全人格を否定されると同じと認識しているからだろう。
投稿: なにわのヒバゴン | 2018年11月25日 (日) 21時29分