労政審と三者構成原則
厚生労働省のホームページに、労働政策審議会の労働条件分科会の案内が出ています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000159793.html
第131回労働政策審議会労働条件分科会
1.日時
平成29年4月7日(金)18:00~19:30
2.場所
中央合同庁舎5号館20階 共用第8会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
3.議題
(1)時間外労働の上限規制について
(2)その他
しかし、労使それぞれのトップが既に官邸の働き方改革実現会議でかなり細かいところまで合意してしまっているわけで、この上審議の余地がどれだけあるのだろうか、という気もしないではありません。
これまで官邸主導の労働法制改革は、経済財政諮問会議にしても規制改革会議にしても産業競争力会議にしても、全て労働者の代表のいないところで結論が決められ、それが労政審に降りてきて、さあこれで議論しろといわれるから、そんなの三者構成原則に反するという正しい反論ができたわけですが、今回は官邸の会議自体が、人数的なパリティ云々という問題はあるとしても、ちゃんと労使双方の代表が入り、しかもその決定経緯が事実上労使間のサシの交渉に持ち込まれ、その結果として合意が成り立ち、それが首相の裁断で決定に至ったということからして、少なくともILOの精神からして何もおかしくない、むしろ三者構成原則の鑑みたいな政策決定プロセスになっているわけで、これはもう、今更労働条件分科会で労使どちら側も文句のつけようがないですね。上限を何時間にするかという労使交渉の一番キモになるところはもう終わっちゃっている。そこは、同一労働同一賃金をめぐる問題ともちょっと位相が違うところです。
ということは、これはもう殆ど中身のある議論の余地なく、すいすいと建議になり、法改正案になり、もしかしたら今国会に提出されてしまうということになるのでしょうか。
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» 高プロや裁量性拡大阻止に連合は全力を! [シジフォス]
土曜日の朝、1時間かけて書いた文書がPCの画面から突然消えてしまった。いや、嘘ではなく本当の話。結果、ほぼ2日間PCと離れた。幸い、メールもほとんど無かった。リタイアした身で休日概念は無いが、PCと離れるだけで爽やかになる。ほとんどの方が常にスマホと離れない姿は異様であり、それだけで命を縮めていると思っているが、スマホだけが「繋がっている証」とも反論(?)される。まったくと言っていいほど明るい話題がなく、共謀罪をはじめ重要課題が山積しているなかで、「働く」という意味を問い続けざるをえない…...... [続きを読む]
以下のような指摘も、至極尤もだと思うのですが、どんなものなのでしょう?
(八代教授)
"正社員、つまり無期の労働者の利害を代表している労働組合が、労働者全体の利害を代表しているかのように議論するというのは、これはILOの精神に対してもおかしい。"
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/bunka/koyou/dai6/gijiyousi.pdf
投稿: RT | 2017年4月 3日 (月) 07時57分
非正規労働者を代表できていない労働組合が労働者全体の利益を代表していると言えるかというのはまさに問題ですが、正規も非正規もそもそもいかなる労働者も代表していない経済学者がその代わりに労働者を代表できるわけではありません。
この問題については今まで何回も論じてきていますが、最近では、『労基旬報』の今年の1月15日号に「三者構成原則の過去・現在・未来」を寄稿したので、じっくりと読んでいただければと思います。
どこか特定のパラグラフだけに脊髄反射するのはなしです。全体の理屈をよく読んでください。
http://hamachan.on.coocan.jp/roukijunpo170115.html">http://hamachan.on.coocan.jp/roukijunpo170115.html
投稿: hamachan | 2017年4月 3日 (月) 20時37分
労働者代表の方には"疑問を呈する"方々も、使用者代表の方には何も言いませんよね。経済団体だって1つじゃないんだし、別の団体の代表がなってもいいんじゃないですか。ねぇ。
投稿: ちょ | 2017年4月 6日 (木) 19時47分