ギード・フィッシャー『労使共同経営』@『HRmics』26号
海老原嗣生さんのニッチモが出している『HRmics』の26号が届きました。なぜかまだニッチモのホームページにアップされていませんが、その関係のHRicsレビューの案内は載っているので、何かの手違いかも知れません。
特集は「あーせい、そーせいいわない地域創生」で、なぜか高橋洋一氏とか古賀茂明氏といった「脱藩官僚」な方々が出てきて、いろいろと語っています。今度のHRmicsレビューもこのお二人のようですね。
それはともかく、わたしの連載「原典回帰」は、ギード・フィッシャー『労使共同経営』を取り上げています。
ギード・フィッシャーといってもほとんどの人は知らないかも知れませんが、ドイツ経営学の一つの頂点みたいな人です。
前回のフリッツ・ナフタリ編『経済民主主義』に続いて、今回もドイツです。ただし、ナフタリの本がワイマール期の労働組合サイドの考え方を提示したものであるのに対し、今回のギード・フィッシャーはドイツ経営学の代表的な学者で、本書は「ドイツ的経営」の神髄をまとめた本として知られています。えっ?ドイツ的経営?そう、日本が毀誉褒貶はともかく「日本的経営」で特徴づけられるのと似て、ドイツの企業経営もアングロサクソン型の経営思想に対してドイツ的な経営思想で特徴づけられるのです。
この点については、ミシェル・アルベール『資本主義対資本主義』(竹内書店新社)や有名どころではロナルド・ドーア『日本型資本主義と市場主義の衝突』(東洋経済新報社)などで、ライン型資本主義という言葉で知っている方も多いのではないかと思います。ただ、アルベールはフランス人だし、ドーアはイギリス人です。彼らがアングロサクソン型に比べて推奨するそのドイツ的経営を、ドイツ人自身が「こういう考え方なんだぜ」とまとめた本というのは、実はなかなか見つかりません。今回のフィッシャーの本は、原著が1955年、邦訳が1961年と半世紀以上も昔の本ではありますが、それだけに純粋にドイツ的経営の神髄を打ち出しているところが見られますので、ドイツの労働システムを前回のナフタリと合わせて労使両方の観点から眺める上でも、結構有用な本だと思います。1 経営パートナーシャフト-生活の安定
2 公正賃金
3 共同体メンバーとしての従業員
4 組織原則の違い
5 フィッシャー経営学とカトリシズム
で、最後に海老原さん曰く:
う~ん、深いなフィッシャー
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