菅野和夫・荒木尚志編『解雇ルールと紛争解決─10ヵ国の国際比較─』
JILPTから菅野和夫・荒木尚志編『解雇ルールと紛争解決─10ヵ国の国際比較─』が刊行されました。
http://www.jil.go.jp/publication/ippan/dismissal-rules.html
日本を含む10ヵ国における解雇の法的ルールと紛争解決システムを提示し、それらを整理、比較した。今後の日本における解雇ルールと紛争解決システムの構築に向けた議論に欠かせない一冊。
10カ国というのは下記目次のの10カ国です
- 序章 解雇ルールと紛争解決─10ヵ国比較のアウトライン
- 第1章 解雇ルールと紛争解決:日本
- 第2章 解雇ルールと紛争解決:イギリス
- 第3章 解雇ルールと紛争解決:ドイツ
- 第4章 解雇ルールと紛争解決:フランス
- 第5章 解雇ルールと紛争解決:イタリア
- 第6章 解雇ルールと紛争解決:スペイン
- 第7章 解雇ルールと紛争解決:デンマーク
- 第8章 解雇ルールと紛争解決:韓国
- 第9章 解雇ルールと紛争解決:オーストラリア
- 第10章 解雇ルールと紛争解決:アメリカ
- 終章 諸外国の解雇ルールの展開と雇用システム
- 附録 解雇ルールと紛争解決─10ヵ国比較の整理表
これは、2014年度に行った9カ国の調査研究がベースになっています。この時の研究報告書は、山本陽大さんの書いたドイツ編は
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2015/0172.html(労働政策研究報告書 No.172 ドイツにおける解雇の金銭解決制度 ―その法的構造と実態に関する調査研究)
細川良さんの書いたフランス編は
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2015/0173.html(労働政策研究報告書 No.173 フランスにおける解雇にかかる法システムの現状)
池添弘邦さんの書いたアメリカ編(解雇だけでなく雇用仲裁も主眼となっていますが)は
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2015/157.html(資料シリーズ No.157 アメリカにおける個別労働紛争の解決に関する調査結果)
それ以外の諸国も含めた全体版については、
http://www.jil.go.jp/foreign/report/2015/0615.html(解雇及び個別労働関係の紛争処理についての国際比較 ~ イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、 デンマーク、韓国、オーストラリア及びアメリカ ~)
としてアップされています。
今回の本はそれらをアップデートするとともに、菅野和夫理事長自身による日本編を第1章として新たに盛り込んでいます。
厚生労働省の「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」において、今年に入ってから解雇の金銭救済制度の本格的検討が始まっていることからも、本書をじっくり読んで基礎知識を完備しておくことはますます重要になりつつあると言えましょう。
500ページ近い大冊ですが、手元に置いて随時参照するには大変便利な一冊です。
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