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2017年3月16日 (木)

IT業界の働き方を変える@『情報労連REPORT』3月号

1703_cover時間外労働の上限規制に労使が合意した直後に、『情報労連REPORT』3月号が届きました、今号の特集は「IT業界の働き方を変える」です。

http://ictj-report.joho.or.jp/special/

冒頭の、ベンダー×ユーザー×労働組合の偉い人による座談会のすぐ後に、

http://ictj-report.joho.or.jp/1703/sp01.html([座談会] いまこそIT業界に働き方改革を)

1703_sp02_main中堅企業ITエンジニアによるホンネの覆面座談会が載っていて、これが興味深い。

http://ictj-report.joho.or.jp/1703/sp02.html([覆面座談会] 勤務間インターバル「わが社だけ導入するのは難しい」中堅企業ITエンジニアのホンネ)

─単刀直入、皆さんの職場の長時間労働の実態はどうでしょうか。

B 月45時間超の残業がある場合は、労使協議をします。ただ、これもあくまで「紙の上」ですよね。45時間を超えて60時間までと決めても、客先で仕事を振られたら「できない」とは言えないので。

特別条項の年間の上限は999時間です。数年前は1000時間を超えたこともあったけど、ここ数年はそういうことはなくなりました。徹夜で作業という話は最近はないみたいだけど、23時くらいまで毎日やっているとかは聞きますね。

C 現場にいると、トラブルで呼び出されるとか、どうしてもありますよね。公共性の高いシステムだとなおさらです。私も深夜の2時とか3時に電話が鳴って、「こんなメッセージが出たんですけど…」みたいな。一番ひどい時は深夜でも自宅からタクシーで現場に来てくれなんてこともありました。

客先で仕事を振られたら「できない」とは言えない、と。

なぜ長時間労働になるのかというと、

─長時間労働が発生する要因をどう考えていますか?

A マシンは基本的に24時間動いているので、昼も夜も関係ありません。変なメッセージが出れば夜中でも電話がかかってくる。開発もしつつ運用もしつつ、そのどちらでもトラブルが起きて、調査や回答をしないといけない。こういうのが実態なのかなと。

B うちの運用系はシフト勤務なので、極端な長時間労働にはならないですね。つらいのは、開発系だよね。

C 100時間超の残業になった現場は、一次開発がサービスインして、二次開発に進もうとしたら、一次開発でトラブルが起きちゃって。そっちに対応していたら、二次開発のスケジュールはどんどん遅れる。だけど、二次開発の納期を先延ばししてくれるわけでもなく、後から人を増やすこともできずに、一人で二つの作業をやってしまう。で、長時間労働になってしまう。

超勤はみんないけないと思っているのでしょうけど、電話がかかってきたら、やっぱり「行かなくちゃ」と思ってしまう。管理職も「行くな」とは言えない。組合には事後報告、みたいな感じですね。

電話がかかってきたら、やっぱり「行かなくちゃ」、なんですね。

情報労連が一番力を入れて頑張っている、そして今回の労使合意で努力義務化することが決まった例の勤務間インターバル規制ですが、

─情報労連では労働時間の適正化のために勤務間インターバル制度の導入をめざしています。現場の声はどうでしょうか。

B インターバルが翌日の始業時間に重なって、その時間に出社できないというのは、現実的にはどうなのかなと。少人数で客先常駐している職場からすると、他社の社員もいるので現実的には難しいかもしれない。

A 1社だけだと難しいですよね。法律で同時に守るようになれば違うのでしょうけれど。

C 産業別といっても、情報労連に加盟しているIT企業もあれば、電機連合に加盟している企業もあり、そこを説明するのが難しい。勤務間インターバル制度に関しても、現場の第一声は、「じゃあ、この制度を誰がお客さんに説明してくれるんですか」ですね。

誰がお客さんに説明してくれるのか!?

日本の労働社会は「お客様主権」であるということがよくわかります。

「そういう決まりになってます」と言えないと、そもそもそういう決まりを作るのに必要なだけ広まることも難しいというパラドックスですね。

あと、最近『デスマーチはなぜなくならないのか』を書かれた宮地弘子さんの

http://ictj-report.joho.or.jp/1703/sp04.html(「デスマーチはなぜなくならないのか」 背景にソフトウエア開発作業への理解不足)

や、POSSEの三家本里実さんの

http://ictj-report.joho.or.jp/1703/sp05.html(情報通信業はなぜ長時間「残業」が発生するのか データで読み解く残業の発生要因)

など、特集記事はどれも読み応えがあります。

さらに、最近話題のクラウドワークについても、JILPTの山崎憲さんの

http://ictj-report.joho.or.jp/1703/sp07.html(広がるクラウド・ワーキング アメリカのフリーランスの実情は?)

情報労連本部の木村富美子さんの

http://ictj-report.joho.or.jp/1703/sp08.html(ドイツ・スウェーデンの労組は「クラウド・ワーカー」の組織化を開始)

など、興味深い記事があります。

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