竹信三恵子『正社員消滅』
こちらはもと朝日新聞記者の竹信三恵子さんから『正社員消滅』(朝日新書)をお送りいただきました。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18905
非正規雇用が4割に達し、日本の労働環境は過酷さを増す。重い負担と責任を押し付けられる非正規社員。低待遇なのに「正社員なんだから」とブラック労働を課される「名ばかり正社員」の激増。安心・安定の象徴だった「正社員」が危機に瀕している。緊急警告!
中身は次の通りで、
第1章 正社員が消えた職場
第2章 「正社員」を支えてきたもの
第3章 社員なんだからー高拘束の独り歩き
第4章 正社員追い出しビジネスの拡大
第5章 「働き方改革」にひそむワナ
第6章 「正社員消滅」を乗り越えるために
竹信さんの本なので当然ですが、今までの正社員の働き方万歳というような本ではもちろんありません。若干タイトルがミスリーディングすれすれですが。
このうち第5章では、私も登場しています。2013年に規制改革会議雇用ワーキンググループに、佐藤博樹さんらと一緒に呼ばれてお話をしたときのことですが、
・・・こうした座長の問題意識を受けて、佐藤ら有識者を招いた第2回会合でのメンバーの質問は、解雇しやすさをどう実現するかに集中した。・・・
・・・こうして「解雇しやすい限定正社員」への期待が盛り上がる席上、佐藤らとともに有識者として招かれた濱口桂一郎は、「この問題について若干誤解があるのではないかと私は思っております」とし、次のように発言している。「労働契約法16条は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない解雇は権利の濫用として無効であるとしか書いて」いないきわめて基本的なもので、これをさらに緩和するとしたら「客観的に合理的な理由がなくても解雇していいのだと書くのか」「それは男を女に変える以外全てができる立法府ならやれるのかもしれませんが、恐らくそれは事実上、不可能だろう」。
さらに濱口は、佐久間のジョブ型正社員は、パフォーマンスが悪いときに解雇できることが重要という問いかけに、「どうやったら解雇できるかというところから話をすると、多分話はうまくいかない」とも発言した。大事なのは労使双方が、限定条件と雇用終了について約束を交わし、納得するようなルールをどう作っていくか、あるいは明確化していくかということであって、そうした双方の納得の結果として、仕事ができないから他の仕事に回すという可能性がなくなり、それによって解雇の可能性は一般的には高まると考えるべきだというきわめて冷静な議論だ。・・・・
これは、内閣府のホームページに載っていますので、原文を見たい方はご参考までに。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg/koyo/130411/summary0411.pdf
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