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細見正樹『ワーク・ライフ・バランスを実現する職場』

Isbn9784872595765細見正樹さんから『ワーク・ライフ・バランスを実現する職場 見過ごされてきた上司・同僚の視点』(大阪大学出版会)をお送りいただきました。ありがとうございます。

職場における仕事と生活の調和(WLB)の促進に当たって,WLB支援制度利用者の周囲の従業員の不満や不公平感の緩和が課題の一つとなっている.本書は,従来ほとんど着目されてこなかった利用者の上司や同僚の心理に焦点を当て,統計的手法を用いて実証分析を行うことにより,WLBの促進につながる職場環境要因を探り,上司の寛容度や同僚の納得度を高めるための実践可能な解決策を提言する.

ワーク・ライフ・バランスに関する本は今や汗牛充棟の感がありますが、とはいえその中で極めて重要な側面が欠落しているのではないか、というのが細見さんの着眼点です。それは、拙著『働く女子の運命』でも中野円佳さんの本と並べて引用した吉田典史さんの『悶える職場』にくっきりと描かれた、そのまわりのワーク・ライフ・バランスじゃない方の社員たちの視線の問題です。

細見さんは、

・・・むしろ、上記のような「WLB支援制度の恩恵を受けない従業員」「WLBニーズのある従業員の周りにいる同僚や上司」こそが、職場全体のWLBを推進していく上で不可欠な存在ではないだろうか。

という問いかけをベースに、次のようにこの問題を分析していきます。

第1章 本書の目的および全体構成
第2章 家庭生活と創造的職務行動
第3章 ワーク・ライフ・バランス支援制度の効果
第4章 ミドルマネジャーの寛容度
第5章 同僚従業員の業務負担予測と寛容度
第6章 同僚従業員の態度
第7章 総括

あtがきに、著者の肉声が少し書かれています。細見さんは学生時代に憲法を学び、兵庫県に就職したのですが、公務災害の認定業務に携わって「キャリアをかえるきっかけとな」り、また同時期、本書第5章作成のきっかけとなる出来事を経験したそうです。それは、

・・・私と同じ係の女性が、産前産後休暇・育児休業を2回取得し、復帰後は短時間勤務となった。育児は社会で支えるものであり、不満を持つのは意識の問題だと言われることに若干違和感を覚えた。・・・

そこから本書に結実する研究が始まるわけです。

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