非雇用型テレワークへの法的保護?
月曜日から今日まで、JILPTの国際比較労働政策セミナーがあり、3日間ずっと出ていましたが、改めて感じたのは、報告者の半分以上がいわゆる労働のデジタル化、雇用労働と自営業の不分明化に関わる話題を取り上げていたことです。
日本におけるこの問題への関心の奇妙な低さを考えると、なんだか日本の知的世界がエアポケットに入っているような感じもします。
その中で、昨日まとめられた働き方改革実行計画で、同一賃金や長時間労働のようにはあんまりマスコミ等の注目を引いていませんが、今後の労働法政策の行方を占う上で見逃せないのが、非雇用型テレワークへの言及です。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai10/siryou1.pdf
16ページの文章を引っ張っておきますと、
( 2)非雇用型テレワークのガイドライン刷新と働き手への支援
事業者と雇用契約を結ばずに仕事を請け負い、自宅等で働くテレワークを「非雇用型テレワーク」という。インターネットを通じた仕事の仲介事業であるクラウドソーシングが急速に拡大し、雇用契約によらない働き方による仕事の機会が増加している。こうした非雇用型テレワークの働き手は、仕事内容の一方的な変更やそれに伴う過重労働、不当に低い報酬やその支払い遅延、提案形式で仮納品した著作物の無断転用など、発注者や仲介事業者との間で様々なトラブルに直面している。
非雇用型テレワークを始めとする雇用類似の働き方が拡大している現状に鑑み、その実態を把握し、政府は有識者会議を設置し法的保護の必要性を中長期的課題として検討する。
また、仲介事業者を想定せず、働き手と発注者の相対契約を前提としている現行の非雇用型テレワークの発注者向けガイドラインを改定し、仲介事業者が一旦受注して働き手に再発注する際にも当該ガイドラインを守るべきことを示すとともに、契約文書のない軽易な取引や著作物の仮納品が急増しているなどクラウドソーシングの普及に伴うトラブルの実を踏まえ、仲介手数料や著作権の取扱の明示など、仲介事業者に求められるルールを明確化し、その周知徹底及び遵守を図る。
加えて、働き手へのセーフティネットの整備や教育訓練等の支援策について、官民連携した方策を検討し実施する。
まさにデジタル化に伴う新たな働き方の問題に「法的保護の必要性を中長期的課題として検討する」ことに踏み出すようです。
これはもっともっと注目されて良いテーマです。そして、温故知新、かつて1960年代に家内労働法の制定に向けて、全国的に大規模な家内労働の調査をやったことがあることも思い出されてもいいのではないかと思います。
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