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2017年3月 2日 (木)

社会民主主義と右翼ポピュリズムの新たな同盟?

例によって、ソーシャル・ヨーロッパ・マガジンから、

https://www.socialeurope.eu/2017/03/denmark-new-alliance-between-social-democrats-and-right-wing-populism/

New Alliance Between Social Democrats And Right-Wing Populism?

社会民主主義と右翼ポピュリズムの新たな同盟?

Helbak_bio これはデンマークの話です。デンマーク社会民主党と右翼のデンマーク人民党が合意した。何に?やらないことに。

We know what they agree not to do. They both say no to a lower rate of top tax; no to a flat housing tax and higher retirement age; no to free access for refugees and migrants – and they say yes to higher spending on the public sector.

我々は、彼らがやらないことに合意したことを知っている。彼らはいずれも、税率引き下げにノー、一律の住宅課税と引退年齢引き上げにノー、難民と移民の自由なアクセスにノー。そして、公共セクターにおける支出増大にイエス。

これはデンマークだけの話じゃない、と。

・・・Yet the situation in Denmark cannot be viewed in isolation but should be seen in connection with the political front lines between right-wing populism and Social Democracies in Europe. This applies particularly to four major issues (with the first three to be resisted):

・unregulated globalization and neoliberal supply-side policies

・growing and destabilising inequality

・increased pressure on workers’ rights

・major integration challenges relating to refugees

Krogsbaek_bio でもこのデンマークの状況はそれだけで観察すべきではなく、ヨーロッパにおける右翼ポピュリズムと社会民主主義の間の政治的前線との関係で考察すべきだ。これはとりわけ次の4つの主たる問題に関わる。

・規制されないグローバリゼーションと新自由主義的なサプライサイドの政策

・拡大し、社会を不安定化しつつある格差

・労働者の権利への圧力の増大

・難民に関係する社会的統合の課題

The right-wing populist parties and movements in Europe sustain and feed off these issues. Eventually, the Social Democratic part of the labour movement is now finally understanding that its historic indifference to them will bring its demise if it fails to find answers to them.

ヨーロッパの右翼ポピュリズム政党と運動はこれらの問題に取り組み、燃料源として利用してきた。ついに労働運動の社会民主主義的部分は今や最終的に、これらへの回答を見いだせなければこれらへの歴史的な無関心がその終焉をもたらすということを理解しつつある。

But just because the right-wing populists and Social Democrats address the same problems (and apparently in a similar manner) that does not mean sharing the same starting point or pursuing the same solutions, whether generally or specifically. Beneath the often-identical wording and policy ideas, the differences between the two parties far outweigh any similarities.

しかし、右翼ポピュリストと社会民主主義者が同じ問題に取り組んでいる(そして見たところ同じようなやり方で)からといって、同じ出発点を共有しているとか一般的であれ特殊的であれ同じ解決策を追求しているということを意味しない。しばしば同一視される用語法と政策理念の下に、二つの政党の違いは共通性よりも遥かに大きい。

と、このあとむしろこの「同盟」の問題点を縷々指摘していくのですが、とはいえやはり衝撃的なのはむしろ、かくも多くの政策論点で、社会民主主義と右翼ポピュリズムが一致してしまうという事態そのものでしょう。

日本の妙な「りふれは」なんかに比べたら、百万倍ソーシャルなんですね。ヨーロッパの右翼ポピュリズムは。

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コメント

社会民主主義と右翼ポピュリズムの一致・・・グローバリズムの問題を想起させます。

ヨーロッパにおける問題提起ですが、アメリカでも日本でも同じ問題を抱えているということを認識するべきでしょう。

1.規制されないグローバリゼーションと新自由主義的なサプライサイドの政策
・グローバルサプライチェーン → 製造拠点を世界に分散
・企業(特に製造業)の海外展開 → 空洞化
・海外投資 → 国内資金の滞留
・価格競争 → 自国の価格競争力低下、国内の労働付加価値の低下

2.格差
・企業が海外で稼ぐ利益は、国内には還元されない
・グローバル化から取り残された中小零細企業や労働者に、グローバル化の恩恵はない
・正規雇用者と非正規雇用者の格差
・東京の一極集中による地域間格差

3.労働者の権利への圧力
・非正規雇用の増加
・労働条件の悪化(労働時間、賃金、解雇)

4.難民に関する社会的統合の課題
日本では難民、移民の問題は比較的少ないですが、米国やヨーロッパでは問題を抱えていると思われます。
・テロリストや不法外国人の流入による社会的不安の増大
・外国人の流入による賃金の低下、就職機会の減少
・生活習慣、宗教の違いによる文化的な摩擦

高齢化、人口減少が進む日本において、外国人の採用も考えざるを得ないでしょう。また、東アジアの政情不安によって難民が日本にということもあるかもしれません。日本にとって、難民や移民の受入は他人事ではありません。

トランプ大統領の保護主義的な政策は、グローバリゼーションに置いてきぼりになった労働者の支持を得ています。また、バノン主席戦略官の反リベラル、反ポリティカル・コレクトネス、反エスタブリッシュメントな思想が、ポピュリズムと合体するとき、ナチズムの再現さえ想起させます。

社会民主主義者あるいは伝統的な共和党支持者はどのように対処していかなければならないのか?

まず、グローバリズムの問題を認識し、問題に対処していく必要があります。日本人は、グローバリズムの問題が自分自身の問題でもあるということをどれだけ認識しているでしょうか?

「国際競争力」、「国際競争力」・・・と連呼する人達には疑問を感じます。

なぜ、外国人を受け入れなければならないのかがよくわからないですね。
ヨーロッパを見る限りデメリットのほうが大きいと思います。
出来る限り機械化や効率化で対応すべきと思います。

スティグリッツ教授の講演

平成29年第3回経済財政諮問会議においてスティグリッツ教授が講演されました。

講演された資料が公開されています。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0314/shiryo_01-2.pdf

ご参考まで

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