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2017年3月31日 (金)

西村純『スウェーデンにおける労働移動を通じた雇用維持』

こちらは西村純さんのディスカッションペーパー、『スウェーデンにおける労働移動を通じた雇用維持―労使による再就職支援システムを中心に―』です。

http://www.jil.go.jp/institute/discussion/2017/17-02.html

http://www.jil.go.jp/institute/discussion/2017/documents/DP17-02.pdf

こちらは、さらりと「主な事実発見」が書かれていますが、これはこれでなかなかインプリケーションが大きいです。

1.労働力の価格の維持・向上にかかわり、スウェーデンでは産業別協約によって、厳格な賃上げ相場が設定されている。これは、企業規模や企業の経営状況にかかわらず、協約が適用される全ての企業が守らなければならない水準として設定されている。

2.とはいえ、産業別協約は、個人への分配に対しては、特に厳格な規定は設けていない。実際の賃金額は、個別企業内における労使交渉によって決められるべきだと考えられている。

3.そのような賃金決定の下、企業内での雇用維持にかかわっても、組合は交渉当事者として、積極的に関与していた。

4.労働移動を通じた雇用維持についても、労使による自主的な取り組みが実施されている。民間ブルーカラー、民間ホワイトカラー、地方公務員などそれぞれのグループで独自の基金が設けられて、サービスが提供されている。

5.加えて、民間ブルーカラーを対象としたTSLシステムを見てみると、その利用者のうち、サービス提供終了後に、労働市場プログラムや公共職業紹介所に行っている者は、ごく僅かとなっている。このことから、経済的理由による整理解雇の対象となった者のうちの多くが、このサービスによって次の職場に移っていることが分かる。

6.移動までの期間であるが、おおむね1年以内に8割のクライアント(サービス利用者)が、次の職場に移っている。

7.再就職支援サービスの質の維持および向上において、労使は一定の役割を果たしている。サービス供給主体であるサプライヤー企業の評価や進捗管理において、ナショナルセンターの労使や産業別組合が果たしている役割は、小さくない。

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コメント

これまでの英国やオランダのモデルに続き、今度は北欧のスウェーデンが日本の労働市場政策のベンチマークとなりうるという示唆でしょうか?僕個人の感覚では(スウェーデン人女性の下で働いている今)、ノースアジアのわれわれ日本人には同じヨーロッパでも寒冷な北欧の国の人たちの家族主義的気風がメンタリティ的によりフィットするように感じています…。もっとも同じ日本でも亜熱帯から寒帯まで(生物多様性も含め)一筋縄ではいかないことは言わずもがなですが…。〜久しぶりの投稿のせいか、コメントが緩くなっていますね。

投稿: 海上周也 | 2017年4月 2日 (日) 08時06分

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