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2017年3月26日 (日)

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案における労働法関係規定

去る3月21日に国会に提出された「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」では、新たに設けられる第6条の2において「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」を刑罰の対象としていますが、

http://www.moj.go.jp/content/001221006.pdf

(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)

第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの五年以下の懲役又は禁錮

二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの二年以下の懲役又は禁錮

2前項各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、同項と同様とする。

この「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」とは、「その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの」ということなので、その別表第3をみていくと、いくつかの労働法の規定が目に付きました。

別表第三(第六条の二関係)

七労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百十七条(強制労働)の罪

八職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第六十三条(暴行等による職業紹介等)の罪

六十四労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第五十八条(有害業務目的の労働者派遣)の罪

強制労働や暴行で人入れ稼業するようなのはヤクザのたぐいだろうと思うでしょうが、いや確かにそうでもあるんですが、実はこれら規定で摘発され有罪となっているのは、最近出演強制が話題のアダルトビデオ業界でもあるのですね。

たまたま昨年、新聞記事に触発されていくつか裁判例を調べたことがあるのですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-d708.html (公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は)

労働者派遣法58条の有害目的の労働者派遣も、職業安定法63条2項の有害目的の職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給も、まさにアダルトビデオ出演に適用されています。詳しくはリンク先エントリを参照。

なので、本法律が成立すると、アダルトビデオ出演を募集/紹介/供給/派遣することを目的とする団体は、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」に該当することになりそうです。そして、そういう団体がそ「の遂行を二人以上で計画し」、「その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為」を行うと、実際に原宿で若い女性に声をかけてプロダクションに引っ張り込んだりしなくても、「二年以下の懲役又は禁錮」になる可能性があるということになりそうです。

かくも重大な法案の、なんという詰まらないところにばかり興味を示しているのだと怒り出す人がいるかも知れませんが、法案の一つの読み方として。

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