労働時間の「延長」と休日労働
こういう素朴な疑問があったので、
https://twitter.com/Ningensanka21/status/844925129264005120
現行の大臣告示を読んでも休日労働を含めるのか否か判然としなかった。パンフレットには休日労働は含まないと記載されてるけどその根拠はどこや。
世間では「時間外労働基準」とかいいますが、正式名称は「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」ですね。
http://www.jil.go.jp/rodoqa/hourei/rodokijun/KO0154-H10.html
で、この「労働時間の延長」という概念は、労働基準法36条1項において、休日労働とこのように書き分けられています。
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。
そして続く2項で、
2 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
「又は」のうしろにある休日労働については基準を定めることは、少なくともこの条項を根拠にしてはできないということになりますね。
こういう法律の規定を前提にして、大臣告示は第1条でご丁寧に、
(業務区分の細分化)
第一条 労働基準法(以下「法」という。)第三十六条第一項の協定(労働時間の延長に係るものに限る。以下「時間外労働協定」という。)をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)は、時間外労働協定において労働時間を延長する必要のある業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより当該必要のある業務の範囲を明確にしなければならない。
と述べているわけです。
本日の労働法講座終わり。
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