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2017年2月13日 (月)

職業安定法改正案のインパクト@WEB労政時報

WEB労政時報に「職業安定法改正案のインパクト」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=626

 去る1月31日、雇用保険法等の一部を改正する法律案が国会に提出されました。中身は三つの法改正を一本にまとめたもので、標題になっている雇用保険法の改正に加えられた育児・介護休業法の改正は、労使のいずれも望んでいないのに、官邸からやれと言われてやらされた感のある改正ですが(その中身はここでは省略します)、残る職業安定法の改正は、これまでの労働市場法政策をかなり大きく変える可能性のあるものです。今回はその中身を過去の経緯にさかのぼって見ていきたいと思います。
 今回の改正には二つの発端があります。一つは規制改革会議が2015年1月に公表した「雇用仲介事業の規制の再構築に関する意見」です。これは、2014年に労働者派遣法改正案が国会に提出されたので、それに続く労働市場規制緩和策として検討されたものです。これを受けて厚生労働省は同年3月から雇用仲介事業等の在り方に関する検討会を開催し、翌2016年6月に報告書を取りまとめました。・・・

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コメント

Web労政時報曰く「今回の改正の最大の意義は、労働者が採用された後の「使用者」の義務としての労働条件の明示(労基法15条)と、ハローワークや職業紹介事業者などの労働市場アクターの義務としての労働条件の明示(職安法5条3)の狭間にあって規制が及んでいなかった「求人者」にも労働条件明示義務を課し、いわゆる求人詐欺に対して罰則を規定した点にあると言えましょう。その意味では、労働市場政策と労働条件政策を架橋する『極めて重要な改正』であると評することもできます。」…。

職安法改正の意義としては、きっと論考のとおりなのでしょう。一方で、私自身が正直あまりといいますか全くこの問題に今日的関心が持てない理由は何なのか?と自問してみると、やはりそこには外資系(ジョブ型)の常識と現代日本企業の労働慣行との間にあるギャップ、すなわち新卒ではなく経歴者採用が中心である上、個別労働契約が果たす機能の違い、ひいては労働者が会社組織で働くことに何を求められるかの前提の違い(働き方、働かせ方の大きな違い)があるようです。

通常、外資系で採用活動にあたっては労働条件が明示された詳細な職務記述書を準備し、広くマーケットに公開していくことが求められます。どんな労働者にとっても必要かつ重要な労働条件とは「職務内容(そのための必要な経験やスキル)、給与&福利厚生、勤務地」の3点セットかと思いますが、求人に際してそれらを前もって明らかにしない限りは適切かつ充分な候補者層にリーチ出来ません、また入社後ミスコミュニケーションが起こるリスクは大きいでしょう。

よって本来、今日のグローバルな労働市場を前にこのようなジョブを中心とした求人採用活動を日頃行っている企業においては、今回の職安法改正の意義はマージナル(法律でわざわざ規制されなくても対処していなければ自然に淘汰されてしまう)と感じられてしまうのです。

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