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2017年2月24日 (金)

小谷敏編『二十一世紀の若者論』

28299072_1小谷敏編『二十一世紀の若者論 ― あいまいな不安を生きる』(世界思想社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.sekaishisosha.co.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&code=1693

イデオロギー対立と経済発展が終焉した二十一世紀。若者たちはどう語られてきたのか。
大人たちの偏見にさらされ、生きづらさを抱えて浮遊する若者たちの姿を、
言説の分析を通して浮かび上がらせる。メタ社会学的冒険の書。

はじめに(小谷敏)
第Ⅰ部 「失われた一〇年」か、「失われざる一〇年」か
第1章 宮台真司という現象(新井克弥)
第2章 この〈世界〉の中で〈他者〉に出会うことの困難(鈴木智之)
第Ⅱ部 若者の生きづらさについて
第3章 「自立しない若者たち」という語り(小川豊武)
第4章 「昭和」対「平成」の世代間戦争(鈴木洋仁)
第5章 働く若者はどう語られてきたか(杉田真衣)
第6章 スクールカーストと能力主義(鈴木弘輝)
第Ⅲ部 若者文化の絶望と希望
第7章 オタクたちの変貌(辻泉)
第8章 ヤンキーとは何者か?(小谷敏・内藤理恵子)
第9章 若者文化の絶望と希望(小谷敏)

うーん、そうですね、まさに「言説の分析」が中心の「メタ社会学的」な本なので、興味ある人にとってはとても面白いでしょうけど、現実をどう分析するのかに関心のある人にとっては隔靴掻痒の感があるかもしれません。

第1章の「宮台真司という現象」から古市憲寿氏を取り上げた第9章の「若者文化の絶望と希望-消費される『若手社会学者』」まで、いろんな人を取り上げていますが、あえていうと、狭義の社会学ムラの中に視線が集まっている感があり、この20年間にワカモノ論としてマスコミでもてはやされたりしてきたものの一部にとどまっている感もあります。まあ、これは私がもっぱら労働論の視点から見ているからかもしれませんけど。

本書で言うと、第5章の「働く若者はどう語られてきたか」(杉田真衣)が若者と労働について取り上げていて、いくつか興味深い叙述がありました。とりわけ、「<学校から仕事へ>の移行という枠組みの問い直し」の必要を説いているところは、私も同感です。

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コメント

小谷敏です。さっそくのご紹介ありがとうございました。ご指摘の点はそのとおりかと思います。若い女性労働者についての研究の蓄積の乏しさという杉田さんの指摘は重い問題を提起しているように編者としても思いました。今後ともよろしくお願いたします

わざわざおいでくださり恐縮です。
最後の古市さんに対するからかいが若干きついかな、という感じはしました。
局部的にはまともなことを語る「有識者」枠としては、思われている以上にまっとうなので。まあ、他の「有識者」がひどすぎるだけかも知れませんが。

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