釣り上げられた『若者と労働』
「Fish On The Boat」という書評ブログで拙著『若者と労働』が取り上げられました。このブログ、「記事、それはまるで、釣り上げた魚たち」とのことで、拙著も釣り上げられたというわけです。
http://blog.goo.ne.jp/mask555/e/5019531aa11a280596522ee80e59c715
とてもおもしろかったです。
現代の日本の労働状況をときほぐして説明してくれる本でした。
というところから、拙著の内容を大変丁寧に解きほぐしつつ解説していただいています。
そして最後に、
長くなりましたが、中身の濃い良書です。
善良な経営者に読んでもらって、雇い方に着いて見識を深めてほしいです。
ふつうのいろいろなタイプの労働者のひとたちも
読んで知っておくと、
自分の気もちや態度に自信が持てるようになると思います。
社会よ、少しずつ良いほうへ変わってゆけ。
そのきっかけになる可能性を秘めた本です。
とまとめていただいています。
(追記)
なお、ツイート上でも、「ますく555」さんに新年早々
https://twitter.com/Heartacheman/status/815961307040124928
濱口桂一郎『若者と労働』おもしろかった。しりすぼみにならない良書。日本の労働状況をじょうずにときほぐして伝えてくれています。
と評していただいています。
(再追記)
その、「ますく555」さんがブクログにもう少し長い感想を書かれていました。
http://booklog.jp/users/mask555/archives/1/4121504658
とてもおもしろかったです。現代の日本の労働状況をときほぐして説明してくれる本でした。日本の、職業に直結しない教育の度合いというか、卒業して就職へ臨む若いひとたちの「これまでの教育が職業に役立つかどうか」の意識というかは、先進国で最下位だったそうです。義務教育を受けても、それがその後の就職にはつながらないと日本人は考えているし、実際そうなのでした。そんな日本の労働システム。本書では、メンバーシップ型と読んでいます。年功序列だとか、新卒一斉就職だとか、そしてそれらとマッチングした企業内のシステムだとか、特殊なんですね。欧米に限らず、中国を含むアジアの先進国にも、日本のようなメンバーシップ労働システムはないそうです。日本では、仕事のスキルのない新卒者をいっせいに採用して、社内で少しずつ教育して使いものになる労働者に育てていきます。一方で、欧米型では、スキルのない若者は採用されません。欠員がでたときに、その仕事ができる人を公募して、若者にしろ中年にしろそこは構わず、持っているスキルで採用の有無を判断するそうです。その結果、若者たちが就職できないという問題を生みますが、公的な職業教育制度があったりして、その問題に対処しているそうです。もともと「人」を大事にする思想ではじまったメンバーシップ型労働システムなんだそうだけれど、法律など建前としては欧米的なジョブ型労働システムをよしとしているようです。ハローワークでの職探し、職業訓練、などは「仕事」に「人」をはりつけるジョブ型の考え。日本的なのは、「人」に「仕事」をはりつけるメンバーシップ型の考え。そして、いまや学生たちは就活と職探しを別々に考えているらしい。職探しは就活より下とみていて、なんとしても新卒で就職しようと躍起になる。給料もそんなに違わなくて、長い時間かけて取り組んだとしてどこがブラックかもわからなくても、既卒で職探しはしたくないみたいなんですよね。
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